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2026年10月4日、岩崎林業が運営する「フォレストリー・ラボ中級コース」において、茨城県水戸市の住宅裏にあるナラ枯れ木の処理を実施しました。
今回の現場は、住宅に隣接して立つ枯損木の処理です。周囲の建物や敷地への影響を考慮しながら、安全に作業を進める必要がありました。
このような現場では、木を根元から倒す通常の伐採が難しく、樹上で枝や幹を少しずつ切り分けて処理する「特殊伐採」の技術が必要になります。
今回の活動では、実際の現場で危険木の状態を確認し、周囲の状況に応じた伐採方法や安全管理について学びながら、ナラ枯れ木の処理を行いました。
1.全国で被害が広がる「ナラ枯れ」とは?
近年、日本各地の森林や里山、住宅地周辺で問題となっているのが「ナラ枯れ」です。
ナラ枯れは、主にコナラやミズナラなどのブナ科樹木が、病原菌の感染によって急速に枯れてしまう現象です。森林内だけでなく、住宅の裏山、公園、道路沿いなどでも発生し、倒木や枝の落下による事故が懸念されています。
ナラ枯れが発生する仕組み
ナラ枯れは、カシノナガキクイムシという小さな昆虫と、それが樹木内に持ち込む病原菌が関係しています。
① カシノナガキクイムシが樹木に侵入
カシノナガキクイムシは、体長数ミリ程度の小さな昆虫です。成虫がナラ類などの幹に穴を開けて侵入する際、病原菌を樹木内部に持ち込みます。
② 病原菌「ナラ菌」が樹木内部で増殖
病原菌の正式な学名は Raffaelea quercivora です。樹木内部で菌が増殖すると、樹木の水分を運ぶ機能が損なわれていきます。
③ 水分の供給が妨げられ、葉が枯れる
感染した樹木では、幹の内部で通水障害が生じ、根から吸い上げた水分が枝葉まで十分に届かなくなります。その結果、夏場であっても葉が赤褐色に変色し、短期間で枯れてしまうことがあります。
なお、葉が枯れている木がすべてナラ枯れとは限りません。被害の判断には、幹の穿入孔や木くず状の排出物(フラス)など、複数の特徴を確認する必要があります。
ナラ枯れ木を放置する危険性
ナラ枯れによって枯死した木は、時間の経過とともに枝が折れたり、幹や根元の状態が悪化したりする場合があります。ただし、枯死した木がすべて直ちに倒れるわけではなく、危険度は樹木の状態や立地条件によって異なります。
特に注意が必要なのは、次のような場所にある枯損木です。
- 住宅や車庫の裏手
- 道路や歩道、通学路の近く
- 電線や隣接する建物の周辺
- 人が日常的に出入りする敷地や公園
こうした場所では、倒木や落枝が人や建物に被害を及ぼすおそれがあります。
ナラ枯れの疑いがある木を見つけた場合は、木の状態と周囲への影響を確認し、必要に応じて専門業者に相談することが大切です。
2.住宅に隣接する危険木の処理と特殊伐採
今回の現場は、水戸市内の住宅すぐ裏の敷地です。住宅に近接しているため、木を根元から倒す通常の伐採方法では、建物や周辺設備に影響を与えるおそれがありました。
また、現場の広さや地形などの条件によっては、高所作業車やクレーンなどの重機を使用できない場合もあります。
そこで重要になるのが、現場の条件に合わせて樹木を少しずつ切り分けていく「特殊伐採」です。
特殊伐採とは?
特殊伐採とは、建物や電線、道路などが近接し、樹木をそのまま倒すことが難しい場所で行う伐採方法です。
樹上に登って枝や幹を段階的に切り分けたり、必要に応じてロープや滑車などの器具を使って切断した部材を制御したりすることで、周囲への影響を抑えながら処理します。
現場によっては、クレーンや高所作業車を使用することもあります。樹木の大きさや傾き、腐朽の程度、作業スペースなどを確認し、適切な工法を選択することが重要です。
今回の作業で重要となった技術
① 現場確認とリスクの把握
作業を始める前に、樹木の状態や傾斜、住宅との位置関係、作業スペースなどを確認します。
ナラ枯れ木は、幹や枝の強度が低下している可能性があります。見た目だけでは内部の状態を正確に判断できないため、樹上作業を行う場合には、登攀の可否や支点の安全性について慎重な検討が必要です。
② 樹上へのアクセスと安全確保
特殊伐採では、専用のロープやハーネスなどを用いて樹上にアクセスする方法があります。
ただし、枯損木では幹や枝そのものが安全な支点にならない場合があります。樹木の状態に応じて作業方法を選び、必要な安全確保ができない場合には、別の工法を検討します。
③ 枝や幹を段階的に切り分ける
住宅などの障害物が近くにある場合は、樹冠部の枝から幹へと、状況に応じて段階的に処理を進めます。
切断した部材をそのまま落とすと、建物や地面、周辺設備を損傷するおそれがあります。そのため、必要に応じてロープや滑車などを使用し、地上作業員と連携しながら部材の動きを制御します。
④ 地上作業員との連携
特殊伐採は、樹上で作業する人だけでは成立しません。地上で作業するグランドワーカーとの連携も重要です。
合図や連絡方法を事前に確認し、切断する部材の動きや着地点、周囲の状況を共有しながら作業を進めます。危険区域への立入りを防ぎ、樹上と地上の双方で安全を確保することが欠かせません。
⑤ 周囲への影響を確認しながら作業を完了
樹木の上部から順次処理し、周囲への影響を抑えながら残った幹を処理していきます。
作業の最後には、残存する幹や切断部材の状態、周辺の安全を確認します。特殊伐採では、木を切る技術だけでなく、作業全体を通したリスク管理が重要になります。
※実際の作業手順や使用する器具は、樹木の状態や現場条件によって異なります。
3.フォレストリー・ラボ中級コースで実践的な技術を学ぶ
フォレストリー・ラボでは、林業に必要な知識や技術を身につけ、安全な作業につなげることを目的として、実際の現場を活用した学習や技術の研鑽に取り組んでいます。
今回の中級コースでは、住宅に隣接したナラ枯れ木の処理を通じて、危険木への対応や特殊伐採における安全管理の重要性を学ぶ機会となりました。
林業の現場では、樹木の状態や地形、周囲の環境が一つひとつ異なります。決まった手順をそのまま当てはめるのではなく、現場ごとの危険性を把握し、状況に応じた適切な判断を行うことが求められます。
岩崎林業では、こうした実践的な経験を通じて、安全な作業方法を学び、技術の向上につなげていきます。
4.ナラ枯れ木や危険木の処理は岩崎林業にご相談ください
住宅の裏山や所有する山林に枯れた木がある場合、倒木や落枝による被害が発生する前に、樹木の状態と周囲への影響を確認することが大切です。
特に、住宅や道路に近い場所では、通常の伐採が難しい場合があります。樹木の大きさや傾斜、周辺環境などを踏まえ、安全性を考慮した適切な処理方法を検討する必要があります。
岩崎林業では、森林整備や伐採作業に取り組むとともに、フォレストリー・ラボを通じて安全な林業技術の研鑽と普及を進めています。
ナラ枯れ木や住宅周辺の危険木、特殊伐採についてお困りの際は、お気軽にご相談ください。
岩崎林業は、現場に応じた安全な作業と、地域の森林・樹木の適切な管理に取り組んでまいります。
次回のラボ中級は11月1日です。
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