9月21日のラボでは、チェーンソーを使った木の切り倒しに関する特別教育の2日目を行いました。
「伐木(ばつぼく)」とは、立っている木を切って倒す作業のことです。危険をともなう仕事なので、法律で決められている特別な安全教育を受けます。今回の午前中は、実際に現場で手を動かしながら、木を安全に・確実に倒すためのやり方を練習しました。午後からはテキストを用いて学科教育を行いました。
この安全教育で身につけること
- チェーンソーの安全な使い方
- 木をどの方向に倒すかを決める方法
- 木を倒すときの具体的な切り方と順番
- 倒すときの危険を減らすコツ(方向のコントロール、退避ルート)
- 倒したあとの処理(木を短く切る、枝を落とす)
チェーンソーを使うときの基本の「守ること」
- 作業前に道具の点検をする(チェーンのゆるみ、刃の切れ具合、燃料の漏れなど)
- 動かすとき以外は、チェーンが勝手に回らないような安全装置を使う
- ヘルメットや手袋、足を守る専用のズボンなど、必要な防具を必ず着ける
- 周りに人や物がないか確認してから作業を始める
木を倒す手順
以下は、実際に現場で使う基本的な順番です。
1)倒したい方向に浅い切り目を作る
倒したい方向の前側に、浅めのV字の切り目(受け口)を入れます。深さは木の根元の直径のだいたい4分の1程度を目安にします。これによって木はその方向へ倒れやすくなります。
2)反対側から水平に切る(最後に少し残す)
木の後ろ側から水平に切り進め、前で作ったV字の少し上で止めます(追い口)。完全に切り落とさず、最後に少し切り残しておく(つる)ことで、木が急に倒れるのを防ぎます。この残した部分が“最後の支え”になります。
3)支えの幅を調整する
残しておいた支え(少し切り残した部分)の厚みを調整して、木がゆっくり倒れるようにします。地形や周りの状況に合わせて厚めに残すか、薄めにするかを決めます。
4)倒れる方向の確認と退避路の確保
倒す方向に人や物がないか最終チェックします。倒れ始めたらすぐに安全な場所に避難できるよう、あらかじめ退避路を作っておきます。
5)合図をしてから倒す
周囲にいる人に声や合図で「これから倒します」と知らせてから切り進めます。
6)倒した後の作業(短く切る・枝を落とす)
木が倒れたら、安全を確認してから、短く切る作業(玉切り)や枝を切り払う作業(枝払い)を行います。切る順番や姿勢に注意して、無理な体勢で切らないようにします。
倒しにくい場所での工夫
- 周囲に障害物がある・斜面になっている場合は、ロープを使って木をコントロールしたり、楔(くさび)のような道具で方向を補助したりします。
- 他の人が近くにいる場合は、必ずロープで引いて速度や方向を調整し、作業者同士の位置を決めてから動きます。
木を倒す時のポイント
- 木を倒す作業は段取りと確認が何よりも大切です。急がず、周りをよく見てから行動しましょう。
- チェーンソーの点検と防具の着用は基本中の基本です。
- 切り方の順番(前の浅い切り目(受け口)→後ろからの水平切り(追い口)→支えの調整(ツル)→退避)は安全な伐倒の基本になります。
- 障害物や斜面があるときはロープや楔で補助し、無理な伐倒は避ける。
今回のラボでは、実際に手を動かしながら「安全に確実に木を倒す技術」を学びました。現場では今日学んだ手順と安全確認を必ず守って作業してください。
次回のラボは10月19日を予定しています。
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