8月17日に「フォレストリー・ラボ初級」を開催しました。
今回のテーマは 「チェーンソーを使った伐木(木を伐る作業)の特別教育」 です。
伐木(ばつぼく)ってなに?
「伐木」とは、立っている木を切り倒す作業のことです。
森の手入れや木材の利用、また建設工事の現場など、さまざまな場所で行われています。
ただし、木は大きく重たいので、切り方を間違えると予想外の方向に倒れてしまいます。これが大事故につながることも少なくありません。特にチェーンソーを使った伐木は危険性が高く、林業における死亡事故の約6割はチェーンソー作業中に発生していると言われています。
伐木作業の危険性について
伐木は林業や建設現場で欠かせない作業ですが、非常に危険を伴います。特にチェーンソーを使った伐木は、林業における死亡事故の大きな原因になっています。ここでは、代表的な危険と事故の例を整理します。
① 倒木による事故
- 予想外の方向に木が倒れる
木の重心や風の影響、切り方のミスなどで、思った方向に倒れず、作業者や周囲の人を直撃することがあります。 - 枝の落下(折れ枝・枯れ枝)
切り倒すときに、上部にある枯れ枝が落ちて頭を直撃することもあります。
② チェーンソーによる事故
- キックバック(刃の跳ね返り)
チェーンソーの先端が木に引っかかると、強い力で跳ね返って顔や上半身に当たることがあります。林業事故の中でも多いケースです。 - 誤操作による切創(きりきず)
チェーンソーは高速で刃が回転しているため、少し触れただけでも大けがにつながります。 - 整備不良によるトラブル
刃の切れ味が悪いと無理な力を入れて作業してしまい、事故のリスクが高まります。
③ かかり木(倒木が他の木に引っかかる状態)
- 切り倒した木が途中で他の木に引っかかって宙ぶらりんになることがあります。
- これを無理に引き下ろそうとすると、突然落ちてきて下敷きになる危険があります。
⑤ 振動障害・健康被害
- チェーンソーの強い振動を長時間受け続けると、血流障害や神経障害(手がしびれる、冷たくなるなど)を引き起こす「振動障害」が発生します。
- 長時間の作業で腰痛や肩の故障を抱える作業者も多いです。
⑥ 環境条件による危険
- 風の強い日 → 倒木の方向が読みにくい
- 雨や雪の日 → 足場が滑りやすく転倒の危険
- 急斜面 → バランスを崩して転落の危険
特別教育とは?
危険のある仕事をする人は、必ず「特別教育」という安全講習を受けなければなりません。
これは 労働安全衛生法 という法律で決められていて、チェーンソーを使った伐木や木材の切り分け作業もその対象です。
教育を受けずに仕事でチェーンソーを使うと、事故のリスクが高まるだけでなく、法律違反になり、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性もあります。
※ただし、自宅の庭木を切るなど、仕事以外の場合には受講義務はありません。ただし、個人で使う場合も事故は多いので、安全への配慮はとても大切です。
なぜ特別教育が必要なの?
- 命を守るため
木は数百kg〜数トンにもなることがあり、倒れる方向を誤ると命に関わります。 - 事故を減らすため
正しい手順を知っているだけで、事故の多くは防ぐことができます。 - 健康を守るため
チェーンソーの振動は長時間続くと「手のしびれ」「血流障害」などを引き起こします。その予防法も学びます。 - 仲間と安全を共有するため
一緒に作業する仲間同士で安全ルールを知っておくことは、現場全体の安心につながります。
講習の内容
特別教育は「学科」と「実技」の2つで構成されており、どちらも大切です。
学科(合計9時間)
- 伐木作業の基本知識(4時間)
木の倒れる仕組みや、安全に倒すための手順などを学びます。 - チェーンソーの知識(2時間)
エンジンの仕組み、目立て(刃の研ぎ方)、燃料の扱い方などを学びます。 - 振動障害と予防(2時間)
長時間使うと手がしびれる「振動障害」について理解し、休憩の取り方や手袋の工夫など対策を学びます。 - 関係する法律(1時間)
チェーンソー作業に関するルールや労働安全衛生法の内容を学びます。
実技(合計9時間)
- 伐木の方法(5時間)
木の重心の見方、受け口・追い口の切り方、倒れる方向のコントロールなど。 - チェーンソーの操作(2時間)
エンジンのかけ方、正しい姿勢、キックバック(刃が跳ね返る危険)の防止方法など。 - 点検・整備(2時間)
使用前後のチェック、刃の交換、オイルの補充や掃除など。
今回のラボで行ったこと
午前(実技中心)
午前中は、屋外に出て実際にチェーンソーを手に取り、伐木作業を体験しました。
- チェーンソーの基本操作
エンジンのかけ方から始まり、正しい握り方や立ち姿勢、キックバックを防ぐための注意点などを練習しました。特に「チェーンソーを体に近づけすぎない」「腰の高さより上で切らない」といった基本ルールを確認しました。 - 防護ズボン(チャップス)の装着
チェーンソーによるケガから脚を守るための装備「チャップス」の使い方を学びました。普段ズボンの上から巻きつけるだけですが、実際に装着すると「思ったよりも厚くて重い」「夏は暑いけど安心感がある」といった声もありました。 - 倒した木の切り分け(造材)
倒した木を丸太や材木に分ける「造材」作業にも挑戦しました。
「チェーンソーは重たいので、持っているだけでも疲れる」
「力よりも、正しい姿勢と刃の当て方が大事なんだと分かった」
といった声があり、体で学ぶ時間になりました。
午後(学科中心)
午後は日陰に移動して、テキストを使った学科講習を行いました。
- 伐木作業の基本知識
午前の実技で体験した内容を整理しながら、「なぜこの切り方が安全なのか」などを理論的に学びました。 - 法律や安全ルール
労働安全衛生法や労働安全衛生規則に基づき、仕事でチェーンソーを使う場合は教育が義務付けられていること、違反すると罰則があることなど、普段あまり意識しない部分まで説明されました。 - 安全装備の重要性
ヘルメット、ゴーグル、イヤーマフ、防護ズボン、手袋など、それぞれがどんな危険から身を守ってくれるかを確認しました。
次回のラボは9月21日を予定しています。
フォレストリー・ラボでは、あなたにぴったりのチェンソーや刈り払い機の選び方から始めて、使い方やメンテナンス方法、安全な取り扱い方法、効果的な作業手順など、必要な知識と技術を一から丁寧に教えます。特に、危険性のある作業だからこそ、安全で確実な技術を身につけることを重視しています。
初めてチェンソーや刈り払い機を使う女性の方でも、安心して木の切断作業を行えるよう、分かりやすく丁寧にサポートいたします。あなたのニーズや目標に合わせたカスタマイズされた指導を通じて、自信を持って作業に取り組むことができるようお手伝いいたします。
また、フォレストリー・ラボでは、伐木などの業務特別教育と刈り払い機の取り扱い安全衛生教育も提供しており、これらの教育を修了された方には修了証をお渡ししています。この学んだ知識や技術は、本業としても、副業としても有効に活用できます。
さらに、基本技術から応用へ中級者のための超実践的林業実践講座として、「フォレストリー・ラボ 中級」では初級で得た知識と技術を応用し、さらに難しい技術を実践していきます。チェンソーのキャブレターの分解・清掃、昇柱器と使った木登り、大径木の伐木など本業として使える技術を習得できます。また、里山資源を活用できるように軽トラックが入れる幅の作業道開設の基本をお教えします。
また、フォレストリー・ラボ 中級の中で小型車両系建設機械の安全衛生教育行い、受講された方には修了書をお渡ししますのでここで学んでいたことを本業としても副業としても活用していただけます。
見学したい方は、お気軽にお問い合わせください。
