6月15日にフォレストリー・ラボ初級が開催されました。
この日のラボの内容は刈り払い機の簡単な日常点検とメンテナンス、林業で使われる主な道具などご紹介しました。
刈払機を安全に使うためには、しっかりと日常点検を行うことが大切です。点検が不十分だと、刃が高速で回転する際に振動が発生したり、飛び散った物でケガをしたり、燃料が漏れたりする危険があります。
そこで、始業前に主要なネジが緩んでいないかや、その他の異常がないかを確認することが必要です。
1. 刈払機の使用前点検の重要性
刈払機は回転刃を高速で動かして草を刈るため、わずかな不具合でも大きな事故や故障につながることがあります。特に以下のトラブルが多く見られます:
- 振動の増加:ナットやボルトの緩みが原因
- 飛散物によるけが:防護カバーの破損や装着不良
- 燃料漏れ:キャップの閉め忘れ、燃料ホースの劣化
点検箇所の例:
- ナット類の緩み
- カッティングアタッチメントの固定状態
- 燃料タンクの漏れ
- スロットルの動作
- ストップスイッチの作動確認
2. 洗浄方法と注意点
水洗いは厳禁!
刈払機は、エンジン~操作部までワイヤーでつながっており、水分が入り込むと錆びや固着の原因になります。
推奨される洗浄方法:
- パーツクリーナーで汚れを除去
- エアーコンプレッサーで残ったゴミを吹き飛ばす
3. エアーフィルターの役割とメンテナンス
エアーフィルター(スポンジ製)は、吸気からゴミやホコリを除去し、エンジン内部の保護に役立ちます。
主な劣化原因:
- 土埃の多い場所での使用
- 経年劣化(スポンジが脆くなる)
清掃方法:
- 内側から外側に向かってエアブロー
- パーツクリーナーでの洗浄
交換の目安:
- 通常5〜6年ごと、最大でも8年以内
- 使用環境が過酷な場合は早めの交換推奨
4. ギアケースのグリスアップ
ギアケースには刈刃の回転力を伝える斜歯車が入っており、潤滑のためにグリスが必要です。
グリスの役割:
- 歯車の摩耗防止
- 発熱抑制
- 焼き付き防止
グリス補給のタイミング:
- 25〜50時間の使用ごとに点検・補給
- 使用前のシーズンイン時にもチェック
手順:
- 側面のグリス注入口のボルトを外す
- 耐熱リチウムグリスなどを注入
- ボルトを締め直す(締め過ぎ注意)
5. 点火プラグ(スパークプラグ)の確認
点火プラグは燃焼の起点。劣化やカーボン堆積により不具合を起こしやすい部分です。
点検の目安:
- 25時間ごとに確認
- 火花が飛ぶかどうかのテストを実施
メンテナンス方法:
- 黒ずみや汚れはワイヤーブラシで清掃
- 電極が摩耗、火花が出ない → 交換
6. 燃料フィルターと燃料供給系の点検
燃料フィルターは、燃料内のゴミや水分を取り除く役割。詰まりが起きると以下の症状が現れます:
- エンジン始動困難
- 回転数不安定
- 始動不可
点検・清掃手順:
- タンク内の吸い上げパイプを引き出す
- フィルターを取り出し、エアブローで清掃
- プライミングポンプ(手押し)を押して燃料の戻りを確認
7. エンジンの冷却系統のメンテナンス
エンジンは空冷式のため、冷却フィンや吸気口に汚れがたまると過熱し、故障の原因になります。
清掃ポイント:
- エンジンシリンダーフィン
- ファンカバーの吸気口
- ダクト周辺の草くずや粉塵
8. キャブレターの分解・清掃
刈り払い機のキャブレターの分解と清掃は、エンジンの調子が悪いときや、長期間使っていなかった場合に特に有効です。ただし細かい部品が多いため、落ち着いて順序よく作業することが大切です。
分解と掃除のやり方
キャブレターを分解する
キャブレターの後ろにある小さいネジを外すと、ふたの中からダイヤフラム(ゴムの膜)やガスケット(薄い紙みたいなもの)が出てきます。
順番を忘れないように、写真を撮りながら外してください。
清掃のやり方
- パーツクリーナーを吹きかける
キャブレターの中や穴に、パーツクリーナーを吹きかけます。 - 小さい穴(燃料の通り道)をチェック
小さな穴が詰まっていると、エンジンがうまく動きません。
キャブクリーナーなどを使い丁寧に清掃します。
※絶対に針金などで穴をつつかないでください。
掃除が終わったら、外した順番でキャブレターを組み立てます。
ガスケット(薄い部品)の向きが逆にならないように注意します。
9. シーズン終了後の長期保管対策
オフシーズン前の保管整備も非常に重要です。
手順:
- 燃料を空にする(タンクとキャブレター内)
- エンジンを空運転させて内部燃料も消費
- 全体を掃除し、破損・劣化部品を修理
- ギアケースにグリス注入
- カッティングアタッチメントを外して点検
- 乾燥した通気の良い場所に保管
林業は、自然の中で行う力仕事でありながら、ときに危険を伴う作業です。安全に、そして効率よく作業を行うためには、「正しい道具の使い方」と「適切な安全装備」が欠かせません。
手工具(手で使う基本の道具)
◆ 鋸(ノコギリ)
役割: 木の枝を切ったり、小さな木を倒したり、切った木を細かくする(玉切り)作業に使います。
特徴:
- 林業では「引きながら切る」タイプの鋸(引き鋸)がよく使われます。
- 切れ味がよく、軽い力で作業ができるのが特徴です。
◆ 鉈(ナタ)
役割: 枝を払ったり、雑草や下草を刈ったり、薪を割ったりするときに使います。
種類と使い分け:
- 片刃鉈(かたばなた): 一方だけに刃が付いており、繊維を切るのに適しています。
- 両刃鉈(りょうばなた): 両側に刃があり、まっすぐ割る作業に向いています。
◆ クサビ(楔)
役割: 木を切って倒すとき、倒したい方向に力を加えるために使います。
特徴:
- 受け口と追い口を切ったあと、追い口に差し込んでハンマーで打ちます。
- クサビを入れることで、木がまっすぐ、安全に倒れるように誘導できます。
◆ チルホール(手動のウインチ)
役割: 倒した木を引っぱったり、坂道から木を下ろしたりするときに使います。
特徴:
- ワイヤーを使って、人の力でも大きな木を動かすことができます。
- 電源がいらないので、山奥の現場でも使用できます。
◆ ロープ(ひっぱる・吊るす)
役割: 木を倒すときに方向をコントロールしたり、荷物を吊り上げたりします。
安全装備(安全のために身に着ける装備)
林業の現場では、小さな不注意が大きな事故につながることもあります。自分自身の身を守るための「安全装備(PPE)」は、作業前に必ず正しく着用することが基本です。
◆ ヘルメット(保護帽)
◎ 頭を守る必須の装備
木の枝が落ちてきたときや、道具が滑ってしまったときに、頭を守ってくれます。林業用ヘルメットには、顔を保護するメッシュガードや耳を守るイヤーマフが一体化しているタイプもあります。
◆ チャップス(脚用防護具)
◎ チェーンソー使用時に必須
チャップスは、万が一チェーンソーの刃が脚に触れたときに、その動きを止めて重大なけがを防ぎます。
◆ 安全靴・林業用ブーツ
◎ 足元のケガを防ぐために
鉄製のつま先ガードが入った「安全靴」は、丸太やチェーンソーから足を守るために必要不可欠です。林業用ブーツは、防水性・滑り止め付きで、ぬかるんだ山道でも安心して歩けます。
◆ 防振手袋
◎ 振動障害(白ろう病)を予防
チェーンソーなどの振動工具を長時間使っていると、手や腕のしびれ・感覚麻痺の原因になります。防振手袋は、手のひらに衝撃吸収材が入っているため、疲労軽減に効果的です。
次回のラボは7月20日に開催されます。
あなたにぴったりのチェンソーや刈り払い機の選び方から始めて、使い方やメンテナンス方法、安全な取り扱い方法、効果的な作業手順など、必要な知識と技術を一から丁寧に教えます。特に、危険性のある作業だからこそ、安全で確実な技術を身につけることを重視しています。
初めてチェンソーや刈り払い機を使う女性の方でも、安心して木の切断作業を行えるよう、分かりやすく丁寧にサポートいたします。あなたのニーズや目標に合わせたカスタマイズされた指導を通じて、自信を持って作業に取り組むことができるようお手伝いいたします。
また、フォレストリー・ラボでは、伐木などの業務特別教育と刈り払い機の取り扱い安全衛生教育も提供しており、これらの教育を修了された方には修了証をお渡ししています。この学んだ知識や技術は、本業としても、副業としても有効に活用できます。
さらに、基本技術から応用へ中級者のための超実践的林業実践講座として、「フォレストリー・ラボ 中級」では初級で得た知識と技術を応用し、さらに難しい技術を実践していきます。チェンソーのキャブレターの分解・清掃、昇柱器と使った木登り、大径木の伐木など本業として使える技術を習得できます。また、里山資源を活用できるように軽トラックが入れる幅の作業道開設の基本をお教えします。
また、フォレストリー・ラボ 中級の中で小型車両系建設機械の安全衛生教育行い、受講された方には修了書をお渡ししますのでここで学んでいたことを本業としても副業としても活用していただけます。
見学したい方は、お気軽にお問い合わせください。
