今年度最後となったラボの内容は、山火事になったアカマツ林の被害木を伐木して、丸太七輪を作成しました
今年の初めにこの地域のアカマツ林で小規模な火災が発生しましたが、消防署と消防団の迅速な対応により、大規模な山火事になることなく早期に鎮火されました。
しかしながら、一部のアカマツは火事の影響で枯れてしまいました。
アカマツ(学名: Pinus densiflora)は、マツ科の常緑針葉樹で、別名「メマツ(雌松)」とも呼ばれています。
天然のアカマツは本州から四国、九州、朝鮮、中国北東部まで分布しています。日本産のマツの中で最も広い範囲に分布しています。
日当たりの良い場所を好み、乾燥にも強いため、尾根筋に多く見られます。成長に伴い美しい赤茶色の幹を持ち、風格ある樹木と言えるでしょう。
針葉は固く細いで、2枚生えてくるため「二葉松」とも呼ばれます。
樹皮は赤褐色で、傷をつけると粘りのある樹液が出ます。後に琥珀のような淡黄色の塊となり、宝石のように見えることもあります。
アカマツはマツタケの生育に深く関与しています。マツタケはアカマツの根に寄生する菌の菌糸が地上に伸びてキノコになったものです。
お互いに助け合って生きている関係であり、私たち人間は秋になるとマツタケをおいしくいただいています。
このアカマツ林には火事で枯れたものとは別に、マツ材線虫病という森林の伝染病で枯れてしまった木が多くあります。
アカマツは、日本の最大の森林病虫害である「松くい虫被害」により厳しい状態に置かれています。この被害は、体長1ミリメートルにも満たない線虫「マツノザイセンチュウ」が松の樹体内に入ることで引き起こされます。また、この線虫を松から松へ運ぶのが「マツノマダラカミキリ」というカミキリ虫です。
この線虫は、マツノマダラカミキリ成虫によって健全なマツへ媒介されます。線虫は蛹室内にいるカミキリムシ新成虫の気門に侵入し、脱出したカミキリムシと共に他のマツへと移動します。マツ枯れの被害は、森林の健全な維持にとって重大な問題であり、対策が求められています。
この病気は明治時代に長崎県で初めて見つかり、その後急速に広がりました。日本では、北海道を除く本州以南の46都府県全てで確認されています。関係者の間では一般的に「マツ枯れ」と呼ばれています。
マツ材線虫病(正式にはマツざいせんちゅうびょう、英名: pine wilt disease) は、マツ科樹木に発生する感染症です。この病気は北米原産の線虫が、日本を含むアジアやヨーロッパのマツ類に枯死を伴う激害をもたらしています。
世界三大樹木病害に、ニレ立枯病、クリ胴枯病、五葉マツ類発疹さび病があります。さらに、この病気を加えて世界四大樹木病害と呼ぶこともあります。外見上似ている病気にはナラ枯れ(ブナ科樹木萎凋病)もあります。
典型的な症状は、夏から秋にかけて、元々正常だったマツの針葉が急速に色あせ、最終的には茶色に変色します。針葉の茶色変化は症状の最終段階であり、その前には外観が通常と変わらず、樹脂(松脂)の滲出が減少します。通常、健康なマツは幹に傷を受けると大量の樹脂を出すのですが、この病気にかかったマツでは樹脂の量が著しく減少し、時には全く出ないことがあります。
発病したマツの幹には、通常多くの穴が見られます。これはこの病気だけでなく、マツが弱ってくるとキクイムシやカミキリムシが集まってくるためです。
マツが線虫に感染して枯れるメカニズムは完全には分かっていませんが、最終的には樹木の内部で管状の組織が閉塞され、特に水を吸い上げる役割を持つ仮道管が広範囲で閉じられてしまうことが原因で、水分が運ばれなくなり、結果として枯死します。
今回は、火事の影響で枯れてしまった木とマツ材線虫病で枯れてしまった木を伐木して「丸太七輪」を作成して活用します。
全国各地の山林保全のために、森林資源の間伐や間伐材の利用が重要視されています。しかし、すべての木材が利用されるわけではなく、残された未利用の原木は山林に放置されています。一方、従来の電気やガスの供給は災害時に停止する可能性があり、これは食料や暖房などの熱源が失われるリスクを伴います。このような課題に対処するため、木材を災害時の熱源確保のための備蓄品として丸太コンロが注目されています。これまで、木製のコンロが開発されてきました。これらのコンロは、丸太を外側の筒部分と中心の芯部分に分け、芯部分には複数の鉛直方向の貫通孔が設けられています。
通常の丸太コンロは、芯部分を取り出すために特別な準備や加工工程が必要で、加工場への運搬や電動ノコギリやドリルなどの道具が必要です。しかし、丸太七輪は、伐採に使われるチェーンソーだけで製造が可能です。現場で木材を切り出し、その場で加工するので、追加の運搬作業が不要です。
丸太七輪は、間伐された木などを原料としています。特に松くい虫被害を受けた木を利用する場合、その木は水分が少なく、十分な量の松ヤニが含まれています。そのため、火力も強く、効果的な熱源として機能します。マツの松くい虫被害は日本全国で見られ、対処が行われていますが、伐木後の木材の利用方法は確立されていません。丸太七輪を利用することにより、松くい虫被害を受けた木の活用が促進され、日本の里山の30%を占めるアカマツ林の再生に役立つことが期待されます。
丸太七輪は、間伐された木や枯れた木などを原料にして作られています。キャンプや災害時の調理、暖房、照明に役立ちます。災害時などには、ごく少量の燃料で着火して使うことができます。一度丸太七輪を着火すれば、その後は自然に燃え続けます。
丸太七輪は、枯れたアカマツなどの木材の価値を向上させ、有効に活用することを目的としています。
丸太七輪を製作するためには、直径30~40cmの丸太の上部に円形のくぼみを作り、その中に火剤や炭を置くことができます。そして、通気のための穴を設けます。さらに、通気口から斜め上方向に向かって空気孔を貫通させることで、風の方向に関係なく設置可能です。災害時やアウトドアでの使用に際しては、基本的に位置を変える必要はありません。また、空気孔を塞ぐことで火力の調整も行えます。
消火時には、丸太を逆さまにして全体と空気孔に水をかけることで、簡単に火を消すことができます。レジャーでの炭火消火では水をかけることが一般的ですが、灰が多く舞うことがあります。通常の木製コンロは上下が貫通しているため、水をかけると灰が大量に舞います。しかし、丸太七輪は逆さまに設置することで、空気孔からのみ大気に触れるため、消火時の灰の飛散が少なくなります。
使用後も、薪などをたせば、再び丸太七輪として使用できます。
また、使用後は焼け残った空洞に土を入れてプランターにしたり、オブジェなどいろいろなものとして活用することも可能です。
午後から、丸太七輪の作成の仕方をお教えし、受講生の皆さんに実践していただきました。
また、前もって置いた丸太七輪に火を入れて、鍋に味噌汁を作り、受講生の皆さんといただきました。
丸太七輪を作成した後、修了式を行い修了書をお渡しし、今年度の最後のラボ初級の全講座が終了しました
受講生の皆さん本当にお疲れさまでした
また、本当にありがとうございました。
