「小径木の伐倒を安全に行う技術 ― 追い口から始める伐木法の実践」


5月5日にフォレストリー・ラボ中級が開催されました。

この日にラボの内容は「小径木を伐木する場合の追い口からの伐木方法」を実践しました。

木を切り倒す伐木作業は、正しい手順で行わないと伐倒方向が確定せず、非常に危険です。伐倒方向を安全にコントロールするためには、正確な伐採手順を知っておくことが不可欠です。

フォレストリー・ラボでは、伐木の基本技術として「オープンフェースノッチ」と呼ばれる北欧式を採用しています。

目標とする方向に木を倒すためには、まず「受け口」を作ります。オープンフェースノッチの受け口は、くの字型の切り込みであり、伐倒の方向を決定するための重要なステップです。

伐倒を行う際には、まず目指す方向に向けて幹の直径の1/3から1/4の深さで地面と平行に切り込みを入れます。水平な切り込みが完了した後、60度から90度の角度で斜めに切り進め、くの字型になるようにします。

受け口が完成したら、反対側から追い口の切り込みを行います。オープンフェースノッチの場合は、受け口の下切り部分を基準にして、会合線の高さと同じ位置で水平に切り込みます。

下切りと斜め切りが合致しない場合、「ツル」が弱まり、伐倒の方向が変わる恐れがあるため、非常に危険です。下切りと斜め切りは一致させることが絶対に必要です。一致していない場合、ツルが機能せず、木が予期せぬ方向に倒れるか、根元から外れる危険性が高まります。

「ツル」とは、木を切り倒す際に、切り倒す方向に作る切り込み(受け口)とその反対側から作る切り込み(追い口)の間に残る長方形の部分です。

このツルは、木が倒れる時に蝶番の役割を果たし、倒れる速度を調節します。

下方伐倒をする時、ツルが多すぎると木が裂けてしまうことがあるため、木が倒れ始めて方向が決まったら、追い口をもっと深く切ることが重要です。

オープンフェースノッチの特徴は、受け口の角度が大きく、追い口の高さが低いことです。受け口の角度が大きいと、伐倒木が大きく傾くまで受け口が閉じません。受け口が閉じると、木が引き抜かれて裂ける恐れがあるため、大きな角度の受け口を設けることで、木が傾くまで安全に作業ができます。この設計により、ツルを使った伐倒方向のコントロールが効果的になり、作業の安全性が向上します。

追い口の高さが低い利点は、年輪の影響によるツルの幅が判断しやすくなることです。

追い口が低いと、木の年輪の影響を受けにくくなります。実際の伐倒作業では、木が年輪に沿って裂けることがあり、これが予定したツルの幅を確保できない原因になることがあります。特に根張りの大きな木では年輪の傾きも大きいため、低い追い口は判断ミスを防ぐのに役立ちます。低い追い口を設定することで、年輪による裂けの影響を最小限に抑え、予定通りのツル幅を確実に確保できます。

オープンフェースノッチの具体的な特徴には以下のようなものがあります。

受け口の角度は70°から90°の間の広角に設定します。

追い口は会合線の高さに合わせます。

これにより、受け口の会合線が視認しやすくなります。また、受け口の角度を広くすることで、伐倒木が大きく傾くまで受け口が開いた状態を保つことができます。この状態では受け口が早く閉じることはありません。受け口が早く閉じると、ツルが引き抜かれて切れる危険性が高まるため、大きな角度の受け口を設けることでツルの破壊を遅らせ、伐倒方向のコントロールを長く維持し、作業の安全性を高めることができます。また、追い口を会合線に合わせることで、年輪の影響を抑え、ツルの幅を正確に設定しやすくなります。さらに、立木が倒れる際に受け口が遅く閉じることで、ツルの破断が遅れ、木が倒れる方向が安定します。

ただし、追い口が低い場合は、ツルが追い口側から上方に裂けるリスクが高まります。オープンフェースノッチでは、低い追い口の高さと同時に、広い受け口の角度での鋸断が必要です。

小径木の伐倒時にクサビを用いて重心を移動させる作業は難しいことがあります。主な理由は、追い口切りを行う際にガイドバーの幅が影響し、クサビを打ち込むためのスペースが不足するため、クサビで重心を移動させることができず、結果としてガイドバーが小径木に挟まれることがあります。

「クサビ」とは、木を倒す際に重心を移動させるために使用する道具です。

使い方は、追い口にクサビを挿入し、ハンマーで打ち込んで木を少しずつ倒していきます。

通常、伐採時には2本のクサビをセットで使用します。

ただし、小径木を伐採する際には、2本のクサビを使用して重心を移動させることが困難な場合もあります。

そのような場合には、「追い口から作る伐木方法」が有効です。

通常、受け口が完成した後に追い口切りを行いますが、「追い口から作る伐木方法」では、最初に追い口切りを行います。

追い口切りは、受け口の反対側から水平に木を切り込む技術で、木が倒れる方向を調整し、予期せぬ倒れ方や事故を防ぐためのものです。この方法を用いることで、木の幹は受け口に沿って折れやすくなり、倒れる方向をよりコントロールしやすくなります。

小径木を伐採する際にクサビを打ち込むスペースが不足しており重心移動が困難な場合、追い口切りを先に行い、追い口を作成した後でクサビを打ち込み、クサビを挿入しハンマーで打ち込むことで木の重心を移動させます。深く打ち込みすぎると前方に傾き、ガイドバーが受け口作りの際に挟まれる可能性があるため、浅く打ち込むことが重要です。

その後、受け口を作成します。

受け口の適切な大きさは、通常、伐倒する木の直径(伐根直径とも呼ばれる)の約1/4が目安です。


伐根直径とは、木を伐倒する際に根元から切り倒す位置までの直径のことで、この直径を正確に測定することは、安全かつ効率的な伐倒作業に欠かせません。
例えば、木の伐根直径が20cmであれば、受け口の大きさは約5cmになります。
実際には測定せず、目視でおおよそ1/4と判断しながら作業を進めることが一般的です。

受け口を作る最初の工程は、斜め切りを行うことです。
伐倒する方向に向かって木の幹に斜め切りを入れ、受け口が伐根直径の約1/4になるように上から下へチェーンソーで斜めに切り進めます。

斜め切りが完了した後、次は受け口の下切りを行います。下切りは斜め切りの下端と水平に合わせて進め、受け口が斜め切りと下切りの終点で一致するようにします。

受け口を作る際に重要なのは、斜め切りと下切りの終わりの部分が一致し、きれいな三角形を形成することです。この三角形を正確に作ることで、伐倒方法をより正確に判断できます。

受け口を作る際には、木の重心によって前方に傾くことがあり、その結果ガイドバーが挟まれるリスクがあります。そのため、最初は受け口を小さく始めて、木の傾きを観察しながら徐々に大きくすることが有効です。

受け口が完成した後は、クサビをハンマーで打ち込んで木の重心を調整しながら伐倒していきます。

クサビを横から挿入するのは、ハンマーで打ち込む時にクサビの先端がツルに当たってこれ以上入らなくなるのを防ぐためです。横から挿入することにより、クサビの先端が接触せず、その厚みを最大限利用できます。

受講生の皆さんに説明をしながら、実際の伐木の方法を教え、その後で実践していただきました。

次回のラボは6月2日に開催されます。

あなたにぴったりのチェンソーや刈り払い機の選び方から始めて、使い方やメンテナンス方法、安全な取り扱い方法、効果的な作業手順など、必要な知識と技術を一から丁寧に教えます。特に、危険性のある作業だからこそ、安全で確実な技術を身につけることを重視しています。

初めてチェンソーや刈り払い機を使う女性の方でも、安心して木の切断作業を行えるよう、分かりやすく丁寧にサポートいたします。あなたのニーズや目標に合わせたカスタマイズされた指導を通じて、自信を持って作業に取り組むことができるようお手伝いいたします。

また、フォレストリー・ラボでは、伐木などの業務特別教育と刈り払い機の取り扱い安全衛生教育も提供しており、これらの教育を修了された方には修了証をお渡ししています。この学んだ知識や技術は、本業としても、副業としても有効に活用できます。

さらに、基本技術から応用へ中級者のための超実践的林業実践講座として、「フォレストリー・ラボ 中級」では初級で得た知識と技術を応用し、さらに難しい技術を実践していきます。チェンソーのキャブレターの分解・清掃、昇柱器と使った木登り、大径木の伐木など本業として使える技術を習得できます。また、里山資源を活用できるように軽トラックが入れる幅の作業道開設の基本をお教えします。

また、フォレストリー・ラボ 中級の中で小型車両系建設機械の安全衛生教育行い、受講された方には修了書をお渡ししますのでここで学んでいたことを本業としても副業としても活用していただけます。

見学したい方は、お気軽にお問い合わせください。


PAGE TOP