林業の夏を支える下刈り作業と刃の手入れ ― 下刈り実践と笹刈刃の目立て法


6月16日にフォレストリー・ラボ初級が開催されました。

今回のラボの内容は、「安全な下刈りの作業」の仕方と「笹刈り刃の目立ての仕方」を実践しました。

まず、安全な下刈りの作業を実際に下刈りをしている山林の現場で実践しました。

林業においては、畑で行われる雑草の除去と同様に、植えられた苗木の成長を妨げる植物を取り除く作業を「下刈り」と称します。この作業は、苗木が他の植物よりも高く成長するまで、植栽後5~10年間、毎年夏に実施されます。特にスギやヒノキの苗木は、他の植物との光や水の競争において積極的な管理が求められます。下刈りを怠った場合、雑草が苗木の成長を妨げ、水分を奪い、枯死に至る可能性があります。

皆伐(林業で,森林などの樹木を全部または大部分伐採すること)後に地面が十分な日光を受けると、陽性植物は速やかに繁茂します。特に、日本の夏の高温多湿な気候は、これらの植物の成長を加速させます。植えた木は雑草や低木に比べて成長が遅いため、手入れを怠るとこれらに覆われてしまい、成長が妨げられます。したがって、植えられた木々の生存と成長を確保し、その品質を維持するためには、定期的な下刈りが不可欠です。

下刈りは、植えた木が成長し、雑草や他の植物との競争が激しくなる前に実施することが肝心です。要するに、木が雑草で覆われることなく健やかに育つためには、早めの対策が重要となります。

7月頃からの雑草は植栽木に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、この時期は下刈りに最適であるとされるのは、雑草の再生力が最も弱まっている時期だからです。

下刈りを行う際、木本や多年生植物の再生能力を抑制するためには、その勢力が最も弱まっている時期が最も効果的です。通常、これは生育初期の成長段階、すなわち前年の貯蔵養分がほぼ消費された時期に当たります。

この時期に草刈りを行うのは、植物の生長がピークに達するためです。さらに、雑草は前年に蓄えた栄養分(主に根に貯蔵されたもの)を使い果たしており、来年の成長に向けての新たな蓄積はまだ始まっていません。前年の栄養が残っているか、新しい栄養蓄積が進んでいる場合、雑草の生命力は強まります。従って、この時期の草刈りは非常に効果的です。

樹種により成長の開始、ピーク、衰退の時期が異なるため、気候や土壌の条件に応じて、それぞれの樹種に適した季節に下草刈りを行うことが重要です。

雑草や雑木が伸びて植えた木を覆い隠すと、高温多湿の環境下で圧迫され、木が弱り枯れることがあります。

下刈りは、造林した木々が雑草の草丈を超えて被圧されないようにするために行います。一般的には、造林木の高さが雑草の草丈の1.5倍以上になるまで、または造林木が草丈より60〜80cmほど高くなるまで、5年から7年間程度行います。

例えば、スギやヒノキが他の草木よりも高く成長するためには、約1.3メートルの高さに達するまで下刈りを継続する必要があります。

下刈りで使う主な道具は、刈払い機です。

刈払い機はエンジンを搭載した棒状の機器の先端に、回転する刃物がついた機械のことです。

作業中は高速回転する刃を使用して雑草を刈るため非常に危険です。また、植えた木に刃が触れると容易に切断されてしまうので、注意深く作業することが重要です。

下刈り作業のポイントは次のとおりです。

下刈り作業を行う際は、水平方向に刈ることが重要です。これは、斜面に沿って直線的に横切ることを意味します。水平に刈ることの利点は次のとおりです。

  1. 上下の動きが少なくなり、歩行の負担が軽減されます。
  2. 植えた木の位置が把握しやすくなります。

この方法で水平に刈ることにより、作業効率が向上します。

水平方向への歩行を意識することで、横移動の回数が増え、斜面の登りが減少します。これにより、作業効率が向上し、疲労による事故のリスクを低減できます。

さらに、植えられた木々は通常水平に並んでいるため、水平に刈り取ることで次の苗木の位置を容易に予測できます。たとえば、一本の苗木を発見した場合、隣の苗木は約1.8〜2.メートル横に存在すると推測できます。

植林地は大体が傾斜しているため、作業中は足元に注意が必要です。下刈りに集中し過ぎると、段差や凹凸、急斜面に気付かず転倒する恐れがあります。

下刈りは、雑草の成長を抑制するために、成長が最も旺盛な夏期に実施されます。この時期は熱中症のリスクが高いため、対策が不可欠です。

下刈り作業は日陰が少なく、直射日光が強い場所で行われることが多く、非常に厳しい労働条件となります。効果的な対策としては、定期的な休憩と水分の補給を心掛け、ファン付きの冷却服を着用して体温を管理することが推奨されます。

刈払い機は鋭い刃が高速で回転する非常に危険な機械です。そのため、作業中に他の作業者が近くにいると、急に振り向いたときに刃が当たる恐れがあります。作業者同士は少なくとも5メートルは離れて作業することが重要です。

また、上下に分かれて作業するのも危険です。上下で作業していると、足を滑らせたときに他の作業者に接触してしまう可能性があります。そのため、基本的には上下に分かれず、同じ高さで作業するようにしましょう。

足元の雑草には蜂の巣が隠れていることがあり、特に猛暑の年には蜂の被害が多く報告されています。林業においては、蜂の被害は最も一般的な災害の一つです。蜂の巣が近くにある場合、蜂が飛び回ることが多いため、作業中は周囲を注意深く観察し、蜂の活動に警戒することが重要です。作業中に蜂に刺されるリスクがあるため、次のような防蜂装備の準備が重要です。

  • 防蜂用手袋
  • 空調機能付き作業服
  • 防蜂用ネット

これらの装備を使用することで、蜂からの被害を完全に防ぐことは難しいですが、リスクを軽減することが可能です。

林地では、伐根や切り株にも十分注意が必要です。刈払い機が朽木や太い笹に刃が当たると、キックバックという跳ね返りが起こることがあります。

キックバックが起こると、機械が突然操作不能になり、自分や周囲に危険が及ぶ可能性があります。さらに、他の苗木を傷つけたり、石や枝を飛散させることもあります。

安全を確保するためには、次のような注意点が重要です。

  • キックバックが発生しやすい箇所を意識する。
  • 草や枝が可動部分に絡まっていないか確認する。
  • 刃の研ぎ方やパーツの緩みを定期的に確認する。
  • 使用方法に誤りがないか確認する。
  • 安全帽や保護メガネなどの保護具を着用する。
  • 作業中は絶対に機械に近づかないようにする。

これらの対策を実施することで、作業中の安全を確保できます。

造林木に蔓が絡んでいる場合、蔓は根元からしっかりと抜き取ることが重要です。

これらのポイントに注意しながら、受講生の皆さんに植林地の下刈り作業を体験していただきました。

午後から笹刈刃の目立ての方法をお教えしました。

林業の現場は常に変化し、危険を伴うため、刈払機を安全に操作するには、正確な目立てを含む基本技術を習得し、技術を向上させることが不可欠です。

刈払機で使用する笹刈刃は、効率的な切断が求められます。安全かつ効率的に操作するためには、刃の適切な目立てが極めて重要です。また、振動障害(白ろう病)の予防のためにも、定期的な目立てが必要とされます。

「笹刈刃」とは、刈払機に使われる刃の一種です。円形の回転刃から出ている刃が丸みを帯びた金属刃です。

「笹刈刃」は、その丸みを帯びた刃が滑りやすい草に触れやすく、柔らかい草を効率的に刈り取ることができます。また、「笹刈刃」は柔らかい草に限らず、刈払機の回転刃が多いほど硬い草も容易に刈り取れるため、30枚以上の刃を持つ「笹刈刃」は硬い草を刈るのにも有効です。

笹刈刃は、刃の厚みによって切れ味が変わります。一般的に、薄い刃は切れ味が良いですが、耐久性が低くなります。

「笹刈刃」は柔らかな草から硬い草まで幅広く対応でき、非常に汎用性があります。切れ味が鈍っても目立てを行い研ぐことで元の鋭さを取り戻せます。

正しい目立てを行った後、刈払機の操作規則を遵守することで、作業の効率が向上し、安全に作業を行うことができます。

目立てとは、摩耗した刃の切れ味を回復させる作業です。この作業は正確さ、確実性、適切な方法が求められ、研磨角度は約45度から50度が必要です。

正確な目立てを行うことにより、次のような利点があります。

  • 草や不要な小枝が容易に切れるため、作業がスムーズに行えます。
  • 経済的で、油の消費が少なく済みます。
  • 効率的に使用でき、刈払機を持つ時間が短縮されます。
  • 振動障害を防ぐことができ、刈払機を力を入れずに軽く握ることで、腕や体への振動が少なくなり、疲労を軽減します。
津村鋼業株式会社ホームページより

笹刈刃の研磨方法は、上の図に示すように丸やすりを使用して行います。

下刈り作業中に、笹刈刃を刈払機に装着した状態での目立て方法を教え、受講生の皆さんに実践してもらいました。

また、「笹刈刃修正定規」を使った笹刈刃の修正方法も教えました。

次回のラボは7月21日に開催されます。

あなたにぴったりのチェンソーや刈り払い機の選び方から始めて、使い方やメンテナンス方法、安全な取り扱い方法、効果的な作業手順など、必要な知識と技術を一から丁寧に教えます。特に、危険性のある作業だからこそ、安全で確実な技術を身につけることを重視しています。

初めてチェンソーや刈り払い機を使う女性の方でも、安心して木の切断作業を行えるよう、分かりやすく丁寧にサポートいたします。あなたのニーズや目標に合わせたカスタマイズされた指導を通じて、自信を持って作業に取り組むことができるようお手伝いいたします。

また、フォレストリー・ラボでは、伐木などの業務特別教育と刈り払い機の取り扱い安全衛生教育も提供しており、これらの教育を修了された方には修了証をお渡ししています。この学んだ知識や技術は、本業としても、副業としても有効に活用できます。

さらに、基本技術から応用へ中級者のための超実践的林業実践講座として、「フォレストリー・ラボ 中級」では初級で得た知識と技術を応用し、さらに難しい技術を実践していきます。チェンソーのキャブレターの分解・清掃、昇柱器と使った木登り、大径木の伐木など本業として使える技術を習得できます。また、里山資源を活用できるように軽トラックが入れる幅の作業道開設の基本をお教えします。

また、フォレストリー・ラボ 中級の中で小型車両系建設機械の安全衛生教育行い、受講された方には修了書をお渡ししますのでここで学んでいたことを本業としても副業としても活用していただけます。

見学したい方は、お気軽にお問い合わせください。


PAGE TOP