キャブレター完全解剖:構造から不調原因まで徹底解説


6月2日にフォレストリー・ラボ中級コースが開催されました。

この日のラボの内容はチェーンソーの分解・清掃・メンテナンスを実践しました。

まず初めにキャブレターの分解を実践しました。

エンジン不調の多くはキャブレターの問題に起因することがあります。キャブレターには多数の穴や部品があり、複雑に見えるかもしれませんが、基本的な機能と構造を理解すれば、誰でもキャブレターのオーバーホールを行うことが可能です。

キャブレターはガソリンと空気を混ぜ合わせ、エンジンに必要な混合気を生成し、燃料を供給する役割を果たしています。

混合気とは、ガソリンを霧状にして空気と混ぜたものです。キャブレターの役割は、この混合気の濃度(空気とガソリンの比率)と量を調整することにあります。

キャブレターには三つの主要な機能があります。最初の機能は、適切な量の燃料を霧状にし、空気と混ぜ合わせてエンジンに送り込むことです。

エンジン内で液体状態の燃料を噴射すると、点火が困難になり、最適な燃焼が得られないことがあります。キャブレターは燃料を霧状に変えて空気と混ぜることで、この霧状のガソリンと酸素の混合物は燃焼しやすく、効率的に燃えるため、少量の燃料で大きなエネルギーを生み出すことが可能です。

2つ目の働きは、エンジンの出力を調整する機能です。エンジンは、キャブレターから供給される燃料と空気によって出力を制御します。そのため、キャブレター側がこの供給を調整することで、エンジンの出力や、最高回転数を自在に変えることができるのです。

3つ目の働きは、エンジンの回転数を制御する機能です。アクセルスロットルを操作することで、キャブレターからの燃料供給量を調整し、その結果、エンジンの回転数を変えることができます。

実際のエンジンでは、回転数や負荷に応じた燃料の微調整が必要です。そのため、キャブレターは多くの穴が開いた構造をしています。

したがって、キャブレター内にゴミや汚れが蓄積すると、適切な燃料と空気の混合が妨げられ、エンジンの性能不良の原因となります。

キャブレターは主に2つのタイプに分類されます。

フロート式: これは比較的大きなエンジンに使用されるもので、農業機械などにも見られる構造です。
ダイヤフラム式: 小型エンジン、例えば刈払機やチェーンソーに使用されます。
これらのタイプは、ガソリンを霧状にする基本的なメカニズムは同じですが、ガソリンを一時的に保持する部分の構造に違いがあります。

ダイヤフラム式キャブレターの図を参照しながら、その構造を説明いたします。

ワルボロチェーンソーキャブレターHDA

赤いのは混合ガソリンの流れで、青いのは空気の流れです。アイドリング状態では、idle needle(Lニードル)の3つの穴のうちの1つから混合気がピストン内に送り込まれています。左手の空気の流れを止めているのがスロットルバルブで右側の空気を通しているのはチョークバルブです。

図に示されているように、チョークを閉じると空気の流れが遮断され、ピストン内へはより多くの燃料が供給されます。

アクセルを開けると、nozzle部分のニードル(針)はスロットルバルブ(ニードルを固定している円筒の部品)と一緒に上に上がります。

「アクセルを開ける」とは、キャブレター内の空気の通り道と、ニードルでふさがれていた燃料の出口を徐々に開いていくことを指します。

燃料タンクから送られたガソリンは、細い管(図の中心部)を通ってキャブレター内の空気の通り道に繋がります。空気がこの通り道を通ると、ガソリンがこの管から吸い上げられて混合気となります。

空気の量を調整するのがスロットルバルブで、吸い上げられる燃料の量を調整するのがニードルです。

ニードルは先端が細くなっており、上に引き上げられると燃料が出る隙間が広がります。

アクセルが少ししか開いていないと、通る空気の量が減り、燃料を吸い上げる力も弱くなります。

キャブレターはベンチュリー効果を利用して、圧力差を生み出します。空気がキャブレターを通過する際に生じる負圧により、ガソリンが吸引されます。空気の通過路が狭まると流速が増し、水のホースの先を絞ると水流が強くなるのと同様です。この流速の増加が圧力を下げ、キャブレター内のガソリンを吸い上げ、霧状の混合気を作り出します。

ベンチュリー効果は、空気や水などの流体が速く流れると圧力が低下する現象を指します。この圧力差が生じると、均一な圧力を求める力によって、管から燃料が引き抜かれることになります。例えば、高速道路で走行中に車の窓を開けると、車内の空気が外へ抜けるのは、外の圧力が車内よりも低いためです。

アクセルを開けると、ニードルとホルダーが中心で上下動し、キャブレター内の燃料吐出量が複雑に調整されるわけではないのです。実際は、アクセルによって空気の流入量が調整され、その量に応じてガソリンが引き出されるのです。これによってエンジンの回転数が増減します。

キャブレターには、アクセル操作によって空気の流量を調整する際にガソリンの出口の大きさ(断面積)を変えるタイプと、大小の燃料穴が設けられており、空気の通路の開閉のみを行うバタフライ方式が存在します。バタフライ方式は、特にチェーンソーのキャブレターで採用されています。

ダイヤフラム式キャブレターは、ダイヤフラムという部品を使用してキャブレター内へ燃料を供給し、適切な量を維持するように設計されています。

チェーンソーはさまざまな角度で使うことがあります。フロートタイプのキャブレターでは、キャブレターが常に水平でないと、溜まっている燃料が漏れ出して正常に使えません。この問題をオーバーフローと呼びます。一方、チェーンソーのキャブレターはフロートを持たないため、非常にコンパクトにできます。また、燃料ポンプも内蔵しているため、燃料タンクがキャブレターの下にあっても問題ありません。

メリットが強調されがちですが、小型キャブレターは消耗品で構成されているというデメリットも持っています。

通常、キャブレターが不調の際は内部の汚れや詰まりが原因と考えられがちです。しかし、刈払機やチェーンソーにおいては、消耗品の劣化が不調の主な原因であることも多いのです。

キャブレターは主に2種類に分類されますが、修理時の主な違いは、標準的なキャブレターは内部清掃が中心であるのに対し、チェーンソーのような機器では、洗浄に加えて消耗部品の交換も必要となります。

キャブレーターの分解清掃には、泡状のキャブレータークリーナーを使用します。その後、汚れを落としたクリーナー液をコンプレッサーで吹き飛ばし、キャブレーターを清潔にします。コンプレッサーが利用できない場合は、パーツクリーナーを使用します。

泡タイプのキャブレータークリーナーを使用する理由は、液体タイプよりもクリーナー液を部品全体に均等に行き渡らせることが容易だからです。しかし、キャブレータークリーナーは汚れを除去する効果がある一方で、ゴム部品には悪影響を及ぼすことがあります。そのため、ゴム部品が多用されているダイヤフラム式キャブレーターを分解清掃する際には、強力なキャブレータークリーナーよりもゴムに優しい製品を選択することが推奨されます。

ダイヤフラム式キャブレータにおいて、以下の部品(箇所)が症状に関連しています。

  1. 燃料を吸わない(始動前):プライマリ・ポンプ、ダイヤフラム・メタリング、ニードル・バルブ、チェック・バルブ、インレット・スクリーン
  2. エンジンがかからない:ダイヤフラム・メタリング、ダイヤフラム・ポンプ、メイン・ジェット
  3. オーバーフロー(ベンチュリから燃料が漏れる):ダイヤフラム・メタリング、ニードル・バルブ
  4. 吹け上がらない:ダイヤフラム・メタリング、ダイヤフラム・ポンプ、メイン・ノズル、インレット・スクリーン
  5. 次第に回転が落ちて止まる:ダイヤフラム・メタリング、ダイヤフラム・ポンプ

ダイヤフラム膜(ダイヤフラム・メータリング、ダイヤフラム・ポンプ)の硬化は、硬化の程度によってエンジンの症状が変わります。

初期段階では、アイドリングや低速での回転時にエンジンが停止することがあります。

チョークを開けた瞬間にエンジンが停止する場合は、燃料の劣化が原因である可能性があります。

また、エンジンが直ちに停止するか、始動しない場合は、ダイヤフラム膜の硬化や詰まりだけでなく、水の混入も考えられます。

ダイヤフラム式キャブレータはエンジンの角度に関わらず安定した油面を維持できる利点がありますが、部品が多く、ダイヤフラム膜のような消耗品に依存しています。そのため、清掃しても症状が改善しない場合があります。

受講生の皆さんは、ご自身のチェーンソーのキャブレターを分解し、清掃した後、再組立てを行いました。その後、再組立てされたチェーンソーのキャブレターのアイドリングとニードルの調整を実施しました。

通常、キャブレターには下表に示すように調整スクリューが3個あります。

スクリュー役割右(時計方向)回転左(反時計方向)回転
Lスクリュー低速時のアイドルポートからの燃料の吐出量を調整します。燃料が減少すると、エンジンの回転数が上昇します。燃料の量が増えると、エンジンの回転数は下がります。
Hスクリュー高速走行時のメインジェットからの燃料噴出量の調整。燃料量が減少し、エンジンの回転数が上昇しています。燃料量の増加により、エンジンの回転数が低下します。
LAスクリューアイドリング時のスロットル開度の調整。スロットルの開度が増すと、エンジンの回転数が上昇します。スロットルの開度が減少すると、エンジンの回転数が下がります。

デジタルタコメーターは基本的な調整を行う上で欠かせないものです。

組み上げたチェーンソーのキャブレター調整をデジタルタコメーター使いながら、調整し、無事キャブレターのメンテナンス作業を終了しました。

次回のラボは7月7日を予定しています。

フォレストリー・ラボでは、あなたにぴったりのチェンソーや刈り払い機の選び方から始めて、使い方やメンテナンス方法、安全な取り扱い方法、効果的な作業手順など、必要な知識と技術を一から丁寧に教えます。特に、危険性のある作業だからこそ、安全で確実な技術を身につけることを重視しています。

初めてチェンソーや刈り払い機を使う女性の方でも、安心して木の切断作業を行えるよう、分かりやすく丁寧にサポートいたします。あなたのニーズや目標に合わせたカスタマイズされた指導を通じて、自信を持って作業に取り組むことができるようお手伝いいたします。

また、フォレストリー・ラボでは、伐木などの業務特別教育と刈り払い機の取り扱い安全衛生教育も提供しており、これらの教育を修了された方には修了証をお渡ししています。この学んだ知識や技術は、本業としても、副業としても有効に活用できます。

さらに、基本技術から応用へ中級者のための超実践的林業実践講座として、「フォレストリー・ラボ 中級」では初級で得た知識と技術を応用し、さらに難しい技術を実践していきます。チェンソーのキャブレターの分解・清掃、昇柱器と使った木登り、大径木の伐木など本業として使える技術を習得できます。また、里山資源を活用できるように軽トラックが入れる幅の作業道開設の基本をお教えします。

また、フォレストリー・ラボ 中級の中で小型車両系建設機械の安全衛生教育行い、受講された方には修了書をお渡ししますのでここで学んでいたことを本業としても副業としても活用していただけます。

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