11月16日にフォレストリー・ラボ初級が開催されました。
今回のラボでは、午前中に林業でよく使われるロープワークについて教えました。
林業の現場では、境界の確認、間伐作業、森林調査、伐木や集材など、さまざまな場面でロープを利用します。杭にしるしを付けたり、物を固定したりする際には、確実に結べて、必要なときに素早くほどくことができるロープワークがとても役立ちます。
その中でも特によく使われる基本的な結び方が 「巻き結び(まきむすび)」 です。巻き結びは、杭やポール、木の幹など、縦に立っているものにロープをしっかりと固定する場合に適しています。
■ 巻き結びの特徴
1. しっかり固定できる
巻き結びは、ロープを対象物に巻きつけることで摩擦が生まれ、ロープが安定して動きにくくなります。そのため、杭や柱などを固定したいときに適した結び方です。
2. ほどきやすい
強く引いて締めても、必要なときには比較的簡単にほどくことができます。作業後の片付けがしやすい点も、巻き結びの便利なところです。
3. 滑りにくい
巻きつけたロープ同士が押さえ合う構造になっているため、横方向にずれにくく、安定した状態を保つことができます。
■ 巻き結びの手順
ここでは、杭(くい)や柱にロープを結びつける場面を例として説明します。
① ロープの端を杭の近くへ持っていく
まず、ロープの一方の端を、結びつけたい杭のそばまで持っていきます。
この「端」を使って、これから結び目を作っていきます。
② 杭にロープを一周巻きつける
ロープの端を、杭の手前から向こう側へまわし、杭の周りを一周させます。
このとき、ロープがたるまないように軽く引きながら巻きつけると、後の作業がやりやすくなります。
③ さらにもう一周巻きつける
次に、先ほど巻いたところと重なるようにして、もう一度ロープを一周巻きつけます。
この「二重に巻く」ことで、ロープの摩擦が増し、しっかりと固定できるようになります。
④ ロープの端を“下側から”くぐらせる
二回巻きつけたロープの下側、つまり杭とロープの間にできたすき間に、ロープの端を下から通します。
ここでくぐらせる位置がずれると結び目が安定しにくくなるため、丁寧に通すことが大切です。
⑤ ロープの端を引いて締める
最後に、ロープの端を強めに引き、結び目全体を締めて固定します。
これで巻き結びが完成です。
固定が緩く感じる場合は、締め直したり、巻きつける回数を増やしたりして調整します。
立ち木への巻き結びの方法
巻き結びは、立っている木や柱のような「縦に長いもの」にロープを固定したいときに使われる基本的な結び方です。ロープの摩擦を利用してしっかりと固定でき、必要になれば簡単にほどくこともできます。
以下では、立ち木を使って巻き結びを行う標準的な方法をご紹介します。
■ ① ロープの端を木の近くへ持っていく
まず、ロープの片方の端(作業に使う側)を、結びつけたい木のそばまで持っていきます。
この端を使って、木にロープを巻きつけながら結び方を作っていきます。
■ ② ロープを木の幹のまわりに一周させる
ロープの端を自分の体の側から木の向こう側へ回し、木の幹を一周するように巻きつけます。
このとき、ロープがねじれたりたるんだりしないように、軽く張りを保ちながら巻きつけることが大切です。
■ ③ 二周目の巻きつけを行う
続いて、先ほど巻いたロープのすぐ上、またはすぐ隣に、もう一度ロープを木に巻きつけます。
二重に巻くことでロープの摩擦が増し、木にしっかり固定されます。
■ ④ ロープの端を「交差している部分の下」からくぐらせる
二回巻いたロープの下側には、ロープと木の間に細いすき間ができます。
そのすき間に、ロープの端を「下から上に向けて」くぐらせます。
この動作によって結び目が形づくられ、ロープが動きにくくなります。
■ ⑤ ロープの端を軽く引いて締める
最後に、ロープの端を引き、巻きつけた部分全体がしっかり締まるよう調整します。
ロープの張りが均等になるように締めると、巻き結びが安定します。
これで巻き結びが完成です。
もやい結び(ボーライン)の説明
もやい結びは、ロープの端に しっかりした輪(ループ)を作るための結び方です。
輪の大きさが変わらず、負荷をかけても締まりすぎないという特徴があります。
林業をはじめ、アウトドア、土木、船舶など、幅広く使われる非常に重要な基本の結び方です。
林業では、伐木時のけん引の際によく使われます。
■ もやい結びの用途
① 物を安全に引っ張るとき
ロープの端に作った輪をフックや柱にかけて、
荷物を引く・固定する用途に適しています。
② 避難・安全確保
人がロープの輪に体を通したり、腰にかけたりして
命綱として使われるほど信頼性が高い結び方です。
(※専門現場では専用器具と併用します。)
③ 立木や杭にロープを固定したいとき
輪を木や柱にかけ、ロープを引いて張ることで
しっかり固定した状態で作業できます。
④ 輪の大きさを変えたくない時
もやい結びで作られた輪は
引っ張っても縮まらない・広がらない
というメリットがあります。
■ もやい結びの特徴
- 輪の大きさが変わらない
- 強く引いてもほどけにくい
- 必要なときには手で簡単にほどける
- ロープの強度を比較的損ないにくい
- 何度も使えるため実用性が高い
■ もやい結びの結び方
ここでは、ロープの「端の方」に輪を作る基本的なもやい結びを説明します。
① ロープで“わ”(輪の入口)を作る
まず、ロープの途中で 小さな輪(わ) を作ります。
この輪の部分は “ウサギの穴” と言われることもあります。
→ ロープの手前側の部分(作業側の端)が上に来るように輪を作ると結びやすくなります。
② ロープの端を輪の中に通す
ロープの先(端)を、その輪の 下から上へ 通します。
これは「ウサギが穴から出てくる」というイメージです。
③ 立っているロープ(立ちロープ)の後ろ側へ回す
輪から出てきたロープの端を、
今度は 立ちロープ(木につながる側) の後ろにまわします。
これで輪の外側で一度、ロープが立ちロープに触れる形になります。
④ 端をもう一度輪の中へ戻す
立ちロープの後ろを回した端を、
最初に作った輪の 上から下へ 再び通します。
これは「ウサギが穴に戻る」イメージです。
⑤ 形を整えて引き締める
最後に、
- 立ちロープ(メインの線)
- 作った輪
- ロープの端
この3つがねじれないように形を整えながら、ゆっくり締めます。
これで もやい結びの完成です。
そのほか、「自在結び」、「八の字結び」、「輸送結び」、「南京結び」、「一重継ぎ」、「ねじ結び」などをお教えしました。
午後の講習では、ソーチェンの構造と目立て方法について学びました。
1. ソーチェンとは
ソーチェンは、チェーンソーのバー(ガイドバー)の周りを回転して木材を切る、刃の付いた連結部品です。
チェーンは「小さなのこぎり刃(カッター)」が多数連なった形をしており、これが高速で回転することで木材を切断します。チェーンの種類や状態は、切れ味・作業効率・安全性に直結します。
2. ソーチェンの基本構造
ソーチェンは数種類の部材が規則的につながって構成されています。代表的な部品は次のとおりです。
- カッター
木を削り取る部分。左右交互に配置され、切断面を形成します。形状により切れ味や耐久性が異なります。 - ドライブリンク
ガイドバーの溝(ガイド溝)に嵌まり、チェーンを回転させる力を伝える部分。厚さ(=ゲージ)があり、バーの溝幅に合わせて選ぶ必要があります。 - タイストラップ
チェーン全体をつなぎ、柔軟に曲がるようにする薄い金属プレート。チェーンの強度と形状保持に寄与します。 - デプス
各カッターの前にある小さな突起で、刃がどれだけ材料を削るか(切削深さ)を制御します。適正な高さでないと切断性能や飛びの危険が変わります。
3. カッターの形(刃の種類)と特徴
カッターの形状は主に下記のように分類されます。作業内容や熟練度に応じて使い分けます。
- チゼル(角刃)
特徴:刃先が鋭く角張っているため、切れ味が鋭く切断速度が速い。
利点:効率良く切れる。
欠点:荒れた木や泥・砂が付着した材では刃こぼれしやすく、研磨(目立て)がやや難しい。プロ向け。 - セミチゼル(半円刃)
特徴:角刃ほど鋭くなく、角が丸められている。
利点:切れ味と耐久性のバランスがよく、汚れや硬い材にも強い。研ぎやすさもあるため、初心者に適している。
欠点:角刃ほど速くは切れない。 - チッパー(丸刃)
特徴:刃が丸みを帯びており切れ味は穏やか。研ぎやすい。
用途:庭仕事や枝払い、汚れの多い材向き(現在はあまり主流ではありません)。
4. ピッチ(刃の間隔)とゲージ(駆動部の厚み)
ソーチェンは「ピッチ」と「ゲージ」で分類され、チェーンソー本体(スプロケット)やガイドバーと合致させる必要があります。
- ピッチ(カッターの間隔)
- 例:1/4″、.325″、3/8″、3/8″ ピッチの軽量 (3/8″ LP) など。
- 意味:カッターやドライブリンクの間隔を示す。ピッチが合わないとチェーンが適合しません。
- ゲージ(ドライブリンクの厚さ)
- 例:.043″、.050″、.058″、.063″ など。
- 意味:ガイドバーの溝幅に対応する厚み。ゲージが合わないとチェーンが緩んだり入らなかったりします。
- ドライブリンク枚数(長さ)
- チェーンには決まった枚数があり、使用するガイドバーの長さに合わせて選びます。
ソーチェンメーカーのOREGON(オレゴン)などで使われるソーチェンの型番にある「BPX」「AP」「PX」「LPX」などのアルファベットは、チェーンの「タイプ(刃や構造・用途の性質)」を示すコードで、それぞれに「どんな場面・用途向きか」「どんな特徴があるか」が異なります。以下に、代表的なコードの意味と、それによる用途の違いをできるだけわかりやすく説明します。
チェーンタイプコードの意味 — なぜ種類があるか
ソーチェンは、「どのような木/材を切るか」「チェーンソーの大きさ(バーの長さ/出力)」「安全性/使いやすさ」「メンテナンス性」などに応じて、刃の形状・構造・駆動リンクの形状などを変えてあります。その設計の違いを表すのが “BPX, AP, PX, LPX などのコード” です。
コードを見ることで、「このチェンはどんな場面に向いているか」の目安になります。
主なコードとその特徴・用途
以下、代表的なチェーンタイプコードと、それぞれの具体的な特徴・想定される用途をまとめます。
| チェーンコード | 特徴・構造の概要 | 主な用途・向いている作業 |
|---|---|---|
| AP (例:OREGON 25AP) | マイクロチゼル(丸みを帯びた刃、切れ味はおだやかで安定)/軽量チェーン。小さめのピッチ(例:1/4″)や細いバー向け。 | 庭木の剪定、小枝切り、軽めの木の伐採、家庭用チェーンソー、枝払い・造園など「軽作業から中程度」 |
| BPX (例:21BPX, 22BPX など) | マイクロチゼルまたはセミチゼル/バンパードライブリンク(キックバック抑制構造)付き。耐久性と安全性を意識したバランス型。 | 林業の間伐、小径木の伐採、丸太の玉切り、中型チェーンソーでの一般伐採作業。安全性と扱いやすさの両立を求める場面 |
| PX または DPX / LPX (例:75DPX, 90PX など) | セミチゼルやラウンドグラウンド刃、または低振動・低プロファイル設計。「プロ用」「山林用」「重作業向き」チェーン。 | 太い木・大径木の伐倒、大量の玉切り、林業作業、丸太の本格的な処理。出力のあるチェーンソーや長めのバーと組み合わせる作業 |
なぜ同じチェーンソーでも「AP」「BPX」「PX」で使い分けるのか
- 安全性と扱いやすさを重視したい → 「AP」や「BPX」など:刃が丸め/セミチゼルで切れ味は安定、キックバック抑制構造。枝払い、小径木、家庭用などに安心。
- バランスよく、林業/伐採全般に使いたい → 「BPX」など:切れ味と安全性のバランス。耐久性も比較的高く、日常伐採に向く。
- 切削速度・効率・切断力・持久性を重視する大径木や重作業 → 「PX/DPX/LPX」など:刃の設計や素材、構造が重作業向け。
- 用途・工具のサイズ/能力(バー長さ、パワー)によって最適なチェーンを選ぶ必要がある → 同じチェーンソーでも、用途が枝払いなのか丸太伐採なのかで選ぶチェーンが変わる。
使い分けの目安
太い木の伐倒、大径木の玉切り、伐採量が多い現場作業:PX/DPX/LPX
庭木の剪定や枝払い、軽い木の処理:AP
林業の間伐、小径木の伐採、林道整備など日常的な伐採:BPX
ソーチェンの目立ての基本
ソーチェンは木を削り取る「カッター(刃)」がついており、使っていると次第に摩耗します。
切れ味が落ちたチェンソーは、危険が増え、作業効率も大きく下がるため、定期的な目立て(研磨)が必要です。
1. 用意する道具
チェンの種類に合わせた専用工具を使います。
- 丸やすり(チェンのピッチに合ったサイズ)
- 平やすり(デプスゲージを削るため)
- やすりホルダー(角度ガイド付きのものが便利)
- デプスゲージ(ゲージ板)
- バイス(丸太クランプ):ガイドバーを固定するため
- 手袋・保護具:安全確保のため
丸やすりの太さの目安
(チェンのピッチによって違う)
| ピッチ | 丸やすり径 |
|---|---|
| 1/4″ | 4.0 mm |
| .325″ | 4.8 mm |
| 3/8″ (ロープロ) | 4.0 mm |
| 3/8″ (標準) | 5.2–5.5 mm |
| .404″ | 5.5–6.0 mm |
2. ソーチェンを固定する
- チェーンソーを平らな場所に置く
- ガイドバーの先を丸太などに挟んで動かないよう固定する
- チェンブレーキを ON(前に倒す) にする
動くチェンを削るのは危険なので、まずはしっかり固定します。
3. 刃の向きを理解する
ソーチェンのカッター刃は左右交互についています。
- 右向き刃 → 右から削る
- 左向き刃 → 左から削る
1つ1つの刃を、同じ角度・同じ回数でやすりがけすることが大切です。
4. 正しい角度でやすりがけする
ソーチェンには、「やすりを当てるべき角度」が決まっています。
一般的な目安:
- 上刃角度(前後の角度):25〜35°
- 横刃角度(横方向の角度):水平か、少し上向きを保つ(0°~10°)
- 深さ(やすりの高さ):デプスより少し高い位置
ガイド付きのやすりホルダーを使うと簡単に正しい角度を保てます。
5. やすりの動かし方(重要ポイント)
- 押すときに削る(引くときは削らない)
- やすりをしっかり固定し、一定の角度を保つ
- 1本あたり3回から5回前後が目安(刃の状態により調整)
- すべての刃を「同じ回数」削ると切れ味が安定
6. デプス(深さ調整)も忘れずに
デプスとは、カッター刃の前にある「小さな突起」のこと。
これは「1回のカッターの削り取る深さ」を決める大事な部分です。
- デプスが高すぎる → 木に食い込まず切れ味が悪くなる
- デプスが低すぎる → 食い込みすぎて危険、振動が増える
調整方法
- デプスゲージ板をカッター刃に置く
- 飛び出している部分だけ「平やすり」で削る
- カッター刃の高さより 約0.65mm〜0.75mm(チェンによる) が目安
デプス調整は、3〜4回の通常目立てに1回行うのが良いです。
7. すべての刃を均等に整える
- 左側の刃も右側の刃も同じ長さに揃える
- 一番短くなった刃に合わせて、他の刃も同じ長さに揃える
これができていないと、切る方向がズレたり、チェンが暴れて危険です。
参加者のソーチェンの規格とカッター形状を確認し、それぞれのチェーンに適した目立て方法を実践しました。
次回のフォレストリー・ラボのご案内
次回の講習は 12月21日 に開催を予定しております。
フォレストリー・ラボとは
フォレストリー・ラボでは、チェンソーや刈り払い機の基本操作から、安全な使用方法、日常のメンテナンス、そして作業効率を高めるための実践的な技術まで、幅広く学ぶことができる講習を行っています。
特に「安全第一」を最も大切にしており、初めての方でも安心して技術を身につけられるよう、丁寧にサポートいたします。
初めての方でも安心して参加できます
「チェンソーや刈り払い機を触ったことがない」
「使ってみたいけれど、少し不安がある」
そのような方でも心配ありません。
フォレストリー・ラボでは、道具の選び方から丁寧にご説明し、基礎的な操作方法やリスクの少ない作業の進め方まで、ゆっくりと理解していただけるよう指導しています。
特に、
- 初めて道具を扱う方
- 女性で不安を感じている方
- じっくり学びたい方
などにも分かりやすく寄り添い、参加される皆さまのペースに合わせて指導を進めていきます。安心して講習に取り組んでいただける環境を整えています。
修了証を取得できます
フォレストリー・ラボでは、以下の講習を実施しており、受講後には修了証を発行しています。
- 伐木等業務特別教育
- 刈り払い機取扱い安全衛生教育
取得した修了証は本職だけでなく、林業に関わる副業や地域活動などにも活かすことができます。
さらに実践的に学ぶ「フォレストリー・ラボ 中級」
基礎をしっかり身につけた後は、より高度な技術を習得できる 中級講座 へ進むことができます。
中級では、現場で実際に役立つ専門的な内容を扱います。
- チェンソーのキャブレター分解・清掃
- 昇柱器を使った木登り技術
- 大径木の伐採
- 軽トラックが入る作業道の開設
さらに、中級講座のカリキュラムとして
小型車両系建設機械の安全衛生教育
も実施しており、こちらも修了証を取得できます。
より実践的なスキルを習得したい方におすすめの講座です。
まずは見学からでも大歓迎です
「どんな雰囲気の講習なのか知りたい」
「受講前に一度見てみたい」
と思われる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。見学のみのご参加も歓迎しております。
あなたの林業スキルアップを応援します
フォレストリー・ラボは、受講される皆さま一人ひとりの目標やペースを大切にしながら、技術習得を全力でサポートいたします。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
