12月10日に新月伐採をしました


「新月伐採」とは、日本の伝統的な木材の伐採において、「木が眠っている」時期に伐採することが重視されています。この「木が眠る」とは、春夏の成長期が終わり、長い冬が始まる11月や12月のことを指します。具体的には、下弦の月から新月に至る1週間程の期間に伐採された木は、最高の「新月の木」になります。

この時期に伐採された木材は「新月の木」と呼ばれ、木材の品質や特性が良いとされています。昔からの信仰や経験に基づく伝承によれば、この時期の木材は虫害が少なく、腐敗しにくいとされ、また建材としての耐久性が向上すると考えられています。

これは木が冬の休眠期に入ることで、樹木の生理的な変化が木材の品質に影響を与えるという古い知識や経験に裏打ちされています。この伝統的なアプローチは、現代においても木材の品質向上や持続可能な森林管理の一環として考慮されています。

オーストリアにおいても「新月の頃に伐った木は虫がつかないし、長持ちする」という言い伝えが昔から存在していました。これは、木の伐採時期が木材の品質に影響を与えるという信仰や経験に基づくものでした。しかし、近代の林業ではこれを迷信と見なし、無視されることが一般的でした。

1996年にエルヴィン・トーマ氏が著書「木とつきあう知恵」を出版すると、このテーマに対する賛否両論が大きな反響を呼びました。その後、チューリッヒ大学での研究が行われ、その結果が実証されると、ヨーロッパ全体で「新月の木」を使用する動きが拡大しました。

科学的な実証が行われることで、伝統的な知識が現代の持続可能な森林管理に組み込まれる可能性が生まれ、環境への配慮や木材の質を向上させる手段として再評価されています。これは伝統的な知恵と現代の科学が結びついて、新たな洞察と実践を生み出す良い例と言えます。

先月、杉を新月伐採しましたが、今回はヒノキを伐木しました

スギは、ヒノキ科に分類され、スギ亜科に属する常緑針葉樹です。この木は非常に高く、その高さから「日本一の木」とも称されています。さらに、スギは長寿の木として知られており、日本各地には樹齢2000年から3000年のものが存在しています。

遺跡の調査によると、埋没林や木材片として、スギが発見されています。実際、縄文時代早期からスギが使われていたことが分かっています。スギは光合成を行い、温室効果ガスを吸収して空気を浄化する力が非常に高いことが研究によって明らかにされています。

日本には、数多くの「スギ」が植林されており、学名にもジャポニカ(日本の)という意味のラテン語表記になっています。これらの杉は、室町時代から人為的に植林されてきた歴史があり、ほとんどが人々によって植えられたものです。

同時に、自然の中で自生し、何百年もの歳月をかけて成長してきた天然のスギも少なくありません。

スギの名前の由来について、有力な説の一つは、「直木(すくき)」という言葉から来ているとされています。これは、真っ直ぐに上に伸びる木であることに由来しています。スギは傍らに広がることなく、上に向かって伸びる特徴があり、「進木(ススギ)」とも呼ばれることがあります。

杉(スギ)は室町時代から植林が進み、その歴史があるため、日本国内では植林面積が非常に大きくなりました。その結果、杉の植林面積は圧倒的にナンバーワンとなっています。

杉(スギ)は、海外からの輸入に頼らずに、日本国内で安定して供給できる貴重な木材です。その魅力のひとつは、手軽に入手できることです。

杉(スギ)の内部には空気が含まれており、そのため木材全体として軽量な特徴があります。この軽さは、建材や家具などを加工する際に取り扱いがしやすくなる利点があります。実際に、家屋のさまざまな部分には、この扱いやすい特性を生かして杉(スギ)材が使われることがあります。

杉(スギ)は空気に触れることでゆっくりと酸化し、経年変化が現れます。木目や年輪の色が徐々に濃くなり、これによって建具や家具などに使用すると、味わい深い風合いが楽しめるようになります。

杉(スギ)材のデメリットとして挙げられる主な点は以下の2つです。
1. **傷がつきやすい性質:** 杉(スギ)材は柔らかいため、日常の使用で傷がつきやすい傾向があります。小さなキズも経年変化の一環と見なして、味わい深い風合いとして楽しむこともできますが、神経質な方にとってはデメリットと言えます。
2. **アレルギーの原因になる可能性:** 杉(スギ)花粉は花粉症の代表的な原因物質として知られていますが、杉(スギ)材自体は花粉の影響を受けません。ただし、花粉ではなく木材としての杉(スギ)にアレルギー反応を引き起こすことがあります。杉(スギ)材に囲まれて生活するうちにアレルギー反応が現れる可能性があるため、注意が必要です。

天然の杉の香りには、以下のような効果が報告されています。

1. **健やかに過ごせる:** スギの香りに含まれる成分が、血圧を低下させ、心拍数を抑える効果があります。この作用によって体の緊張がほぐれ、心身ともに健康な状態を保つことができます。

2. **ぐっすり眠れる:** スギの香りを嗅ぐと、安眠状態の時に脳内に現れるアルファ波が増加すると報告されています。実際の宿泊者からも、「よく眠れた」「寝つきが良かった」といった感想が多く寄せられています。

3. **免疫力がアップ:** スギの香りによるリラックス効果は、免疫力を担当するNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化させる作用が期待されます。リラックスすることで免疫機能が向上し、健康をサポートします。

厳しい環境で生育されるスギから取れるアロマには、さまざまな効果・効能があります。

心への効能:スギの香りは強力な森林浴効果があり、心にさわやかさをもたらし、バランスと静けさを提供します。香りを嗅いだ後には、血圧や脈拍、交感神経活動などが低下し、リラックス効果が得られます。

身体への効能:このアロマは身体をリラックスさせ、鎮静する優れた作用があります。深くゆっくりとした呼吸を促し、安眠効果にもつながります。さらに、抗菌や防虫作用があり、鎮静作用や免疫調整作用なども備えています。結果として、身体を癒す効果が期待できます。

一方、今回伐木した「ヒノキ」は、ヒノキ科に属する常緑針葉樹で、日本の本州中部から九州まで、そして台湾に分布しています。同じヒノキ属の植物はアメリカでも見られます。ヒノキも非常に長寿で、日本においては木曽にあるものが約450年と考えられ、台湾には2000年以上のものも存在しています。

ヒノキは淡黄白色で、木目が真っ直ぐで狂いがない美しい木材です。この特性から、古くから建築材料として広く利用されてきました。実際、日本最古の木造建築である法隆寺にもヒノキが使用されています。

ヒノキは非常に強く、頑丈な木材です。その比重は軽めで、柔らかい樹種に分類されますが、曲げ弾性強度や引張度などが非常に強い性質を持っています。

ヒノキはスギよりも高価な木材です。その主な理由は「植林から収穫までの年数」「資源量」「手入れの手間」にあります。

スギは植林から収穫まで約40年かかるのに対し、ヒノキは約50〜60年かかります。ヒノキは増植が難しく、資源量が限られているため、供給が少ないのも要因です。また、商品価値を高めるために必要な手入れが、スギよりもヒノキの方が手間がかかります。

さらに、ヒノキはスギに比べて耐水性・耐久性・強度が優れています。そのため、これらの特性から古くから高級木材として扱われています。

針葉樹は軽くて柔らかいという特性があります。同様に、ヒノキも最初は軽くて柔らかい材質ですが、時間が経過するとその特性が一変します。古くなったヒノキは、元の材質とは打って変わって、重量と硬さが増します。

建築材として使われたヒノキは、約100年も経過すると、その性質が大きく変わり、まるで鉄のような堅い材質になると言われています。

ヒノキには注意点やデメリットもありますので、以下にまとめました。

1. **香りが苦手な方への注意:** ヒノキは他の木材に比べて独特で強い香りがあります。そのため、香りに敏感な方やヒノキの香りが苦手な方にとってはおすすめしにくい木材です。

2. **アレルギーに配慮:** ヒノキは花粉症の原因となることがありますが、木材として使用する分には花粉は発生しません。ただし、ヒノキに触れるだけでアレルギー症状が出ることがあり、過度のアレルギー体質の方は注意が必要です。特に、家具やインテリアなど実際に手で触れることが多い場合、ヒノキに対するアレルギー反応がある方は使用を避けるべきです。

ヒノキの香りが持つ主な効果の一つは、強力な抗菌効果です。自然の中には木材を分解する腐朽菌と呼ばれる菌類が存在しています。代表的なものにはオオウズラタケやカワラタケがあります。これらの菌は木材の組織を分解するため、木が守られるためには対抗策が必要です。ヒノキは自らを外部の敵から保護するために、「ヒノキチオール」と呼ばれる香り成分を発しています。この成分は抗菌効果があり、菌に対抗して木を守る役割を果たしています。

ヒノキチオールには高い消臭効果があります。空気中の雑菌類の繁殖を抑制するため、ヒノキチオールは現在、多くの消臭用品に使われています。また、ヒノキの効能には、ホルムアルデヒドを吸着する働きも注目されています。

ヒノキの香り成分には「テルペン」と呼ばれるものが含まれており、この成分は強力な防虫効果があることが知られています。テルペンは植物が外部の敵から身を守るために生成される香り成分の一種で、特にダニに対して高い防虫力を発揮します。そのため、アレルギー体質や喘息を持つ人たちからの需要が高まっており、ヒノキの成分を含んだ建材や壁紙を使用して家を建てるケースも増えています。

ヒノキの香りは、人体をリラックスさせる効果があることで有名です。その秘密は、ヒノキの香り成分に含まれる「α-ピネン」にあります。α-ピネンは、ヒノキやマツ、スギなどの針葉樹林に豊富に存在する香り成分で、木の種類によって異なる香りがします。ヒノキの場合は、温かみのある心地よい香りとされています。

そして、このα-ピネンは人間の心身をリラックスさせ、疲労回復や安眠を促進する効果を持っています。

伐木した木はこれら2種類の木材の特徴を生かすため、天然乾燥の一つの「葉枯し乾燥」を行います

葉枯らし(葉付き)乾燥材は、伐倒した木を枝葉や皮を付けたままの状態で林地に一定期間放置し、枝葉が黄変または赤変して枯れるまで自然乾燥させる木材の製造方法です。このプロセスは、木材中の水分を葉からの蒸散作用によって放出させ、含水率を低下させることを目的としています。

この手法は、木材を自然な状態で、かつ徐々に水分を失わせながら乾燥させることで、木材の品質や特性を向上させることを意味しています。含水率が低い木材は、通常、耐久性が向上し、反りや歪みが少なくなります。また、葉枯らし乾燥によって木材が独自の色合いや風合いを持つこともあります。

葉枯らし乾燥は、古くから各林業地で行われてきましたが、その主な目的は材の乾燥により重量を減らして集運材作業の負担を軽減させることにありました。伝統的には、葉を付けたままの木を一定期間自然乾燥させ、その後に葉を取り除いて加工するという手法が採用されていました。この方法は、木材の乾燥によって重さを減少させ、運搬や取り扱いの際の効率を向上させることが期待されていました。

近年では、その利点に加えて、さまざまな効果が見直されています。具体的には、材色や艶の向上、含水率低下による収縮や割れの減少などが挙げられます。葉枯らしによる乾燥プロセスが木材の品質向上に寄与することが理解され、伝統的な方法が現代の林業においても有益であると認識されています。

来年の秋以降天然乾燥させた杉材で小屋を建てたり、チェーンソーアートのワークショップをし、ヒノキ材は子供たちが遊ぶツリーハウスの材料にしたいと思います


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