偏心木の伐倒に挑む ─ 安全な作業のための判断と技術


4月6日にフォレストリー・ラボ中級コースが開催されました。

今回のラボの内容は偏心木の安全な伐木方法をお教えしました。

森林整備や薪づくり、山林の管理など、さまざまな場面で伐倒作業が必要となりますが、木の状態によっては思わぬリスクが潜んでいることもあります。その代表的なもののひとつが「偏心木」です。

安全に作業を行うためには、木の状態を正しく見極め、それに応じた手順と装備で臨むことが重要です。

偏心木とは、木の重心が幹の中心からずれている木を指します。以下のような特徴を持つ木が偏心木にあたります。

  • 幹が傾いて生えている
  • 一方向に枝が大きく張り出している
  • 地形の影響などで、一方にだけ育ちやすい環境にあった
  • 年輪の中心がずれている(伐倒後の断面で確認できます)

こうした木は重心が一方に偏っているため、通常の方法で伐倒すると、狙った方向に倒れない可能性があります。

偏心木を不用意に伐倒すると、以下のような事故につながるおそれがあります。

  • 想定と異なる方向に倒れ、作業者や周囲の人に危険が及ぶ
  • チェーンソーの刃が木に挟まれる
  • ツル(蝶番のような役割)が破壊され、倒れる勢いをコントロールできなくなる
  • 倒れる途中で木が跳ね返る、ねじれるといった予測不能な動きをする

そのため、偏心木の伐倒には特別な注意が必要です。

安全に伐倒作業を行うためには、事前の観察と準備が欠かせません。以下の点をしっかり確認します。

① 木の状態を丁寧に観察する

  • 木の傾き、枝の張り出し方向、幹のねじれなどを確認
  • 根元に腐れや空洞がないか、皮をはがして調べる
  • 上部の枯れ枝(デッドブランチ)や引っかかり木(ハンギングツリー)にも注意

② 周囲の安全を確認する

  • 伐倒方向と反対側に退避ルートを確保
  • 地面の傾斜や滑りやすさ、足場の安全性をチェック

偏心木の伐倒は、一般的な直立木と比べて慎重な作業が求められます。以下の手順を守り、丁寧に進めます。

1. 伐倒方向を決める

基本的には、重心の方向へ自然に倒すのが最も安全です。どうしても別の方向に倒す必要がある場合は、くさびや牽引具を活用して方向を調整します。

2. 受け口の作成

  • 開口角度は70〜90度程度が目安(広めのほうが倒れやすく安全)。
  • 水平切りと斜め切りの交点がしっかり一致するように、丁寧に切ります。
  • 偏心のある方向にやや厚めにツル(蝶番)を残すのも有効です。

3. 追い口の作成

  • 受け口より2〜3cm高い位置に追い口を入れます。
  • 偏心の方向を見極めて、やや高め・斜めの追い口とすることで、バーの挟み込みを防げます。
  • 追い口を入れ始めたら、すぐにくさびを打ち込むことで安全性が高まります。

4. くさび・牽引具による補助

  • 重心と倒したい方向がずれている場合は、くさびで押し込み、方向を誘導します。
  • 牽引ロープ・チルホールを使用し、確実に伐倒方向をコントロールします。

これらのことを踏まえて、受講生の皆さんに安全に偏心木の伐木作業を実践していただきました。

次回のラボは5月4日を予定しています。

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