4月7日にフォレストリー・ラボ中級が開催されました
令和6年度初めてのラボの内容は、「刈り払い機の分解・清掃、メンテナンス」を実践しました。
フィールドは久野陶園で行いました。
久野陶園は、江戸時代の安永年間(1772年から1781年)に、滋賀県信楽から来た陶工・長右衛門が笠間市箱田の久野半右衛門の下で焼き物を始めたとされる場所です。これが「笠間焼の起源」と言われています。
かつて、久野陶園は多くの職人や商人と共に発展し、甕(かめ)、すり鉢、徳利、湯たんぽなどの日用品を大量生産しました。これが笠間市の産業として「笠間焼」を築き上げ、多くの窯元とともに笠間の文化を形成してきたのです。
久野陶園にある登り窯は14房を有し、笠間市の指定文化財です。また、2020年には「かさましこ〜兄弟産地が紡ぐ“焼き物語”」の一環として、日本遺産に認定されました。
久野陶園の工場には今も、ベルト式の動力ろくろ(モーター駆動)など、大量生産を実現するための貴重な歴史的文化資料が数多く保存されています。
しかし、窯業の後継者が見つからず、個人の管理では限界を超えており、今後の継続が困難になっていました。
2020年12月、久野陶園の未来が不透明な状況の中、志を同じくする数名が集まり、「久野陶園をやっていく会」という任意団体を立ち上げました。この団体は、久野陶園を文化の発祥地として復興させ、後世に継承することを目的に活動を開始しました。
2022年2月に、久野陶園はクラウドファンディングを開始しました。目標金額1000万円を大幅に超える12,873,000円を706人の支援者から集め、これにより建物の修復や倉庫のリノベーションを行うことができました。2022年11月に工事が開始され、2023年10月には、ギャラリーフリースペース、カフェスペース、シェアアトリエなど、人々が集まる新しいスペースとしてオープンしました。
まず、見本の刈り払い機の構造をお見せして、キャブレターの仕組みをお教えしました。
刈り払い機のキャブレターは、燃料をエンジンに送る役割があります。
キャブレターはエンジンに必要な混合気を生成する装置で、気化器とも呼ばれています。これは電気を使用せず、タンク内の燃料を霧状にしてエンジンの吸入管に送り込み、そこで空気と混ぜ合わせる機能を持っています。
キャブレターには主に3つのタイプがあります。
ロータリーバルブ式キャブレター:
このタイプは一般的に刈り払い機に使用され、安定した性能を提供します。
構造が複雑で、異物が混入すると故障しやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。
ピストンバルブ式キャブレター:
古いタイプの草刈機によく見られるこのキャブレターは、山林作業に特化した上級者向けです。
ピストンの動きと連動して燃料を供給し、部品が多いため修理コストがかさむことがあります。
フロート式キャブレター:
農機具に広く採用されているこのタイプは、フロートを使用して燃料を調整し、構造が比較的シンプルでメンテナンスがしやすいです。また、経年劣化にも強いという利点があります。
それぞれの特徴を考慮し、適した環境や用途に合わせて選択することが重要です。
キャブレターは非常にデリケートで、故障が起きやすい部品です。古い燃料を放置すると、内部の部品が詰まりやすくなり、結果としてキャブレター内の通路が塞がり、エンジンの正常な動作に支障をきたすことがあります。
キャブレター内部の問題がある場合、オーバーホールにより部品を完全に分解し、清掃することで不具合を解消することが可能です。
オーバーホールでは、製品の各部品を個別に分解し、清掃やメンテナンスを施した後、再組立てして元の性能を取り戻します。これは、各部品を徹底的に検査し、部品単位での調整ではなく、製品全体を見直す機会となります。
通常、キャブレターの周囲にはエアクリーナーが設置されています。キャブレターを分解する前に、エアクリーナーボックスからエアクリーナーを取り外し、それを先に掃除することが重要です。
エアクリーナーは、エンジンに取り込む空気をきれいにろ過するフィルターです。定期的に掃除してメンテナンスしないと、エンジンの調子が悪くなることもあります。
刈り払い機のエアクリーナーは大抵スポンジ製です。軽度の汚れはエアブローで除去できます。しかし、汚れが酷い時はパーツクリーナーを使用して洗浄することをお勧めします。
次に、キャブレターを固定しているネジを緩め、本体から取り外します。
キャブレターを本体から取り出した後、下部に位置するプライマリーポンプを4本のネジを緩めて外します。
次に、パージボディという黒いプラスチック製の部品を取り外すと、二つの金属部品に分けることができます。各金属部品には、薄い黒いバルブ状の部品が取り付けられており、これをダイヤフラムと呼びます。
ダイヤフラムは燃料供給に欠かせない部品で、経年劣化による故障が一般的です。通常、数年ごとの定期交換が推奨されます。また、ダイヤフラムはガスケットと一体化していることが多いです。キャブレターに密着しているダイヤフラムは、損傷を避けるために慎重に、そして優しく剥がす必要があります。
キャブレターのボディやダイヤフラムには、ガスケットと呼ばれる紙でできたパッキンが付いていることがあります。このパッキンが張り付いている場合、無理に剥がす必要はありません。
2つの金属パーツからダイヤフラムをそれぞれ取り外したら、分解作業は完了です。
分解と洗浄を終えた後、再組立ての手順を忘れないために、写真を撮って記録しておくことをお勧めします。
キャブレターには燃料が流れるための多くの小さな穴があります。これらの穴が汚れや劣化した燃料で塞がれると、故障を引き起こす可能性があります。キャブレタークリーナーを使用してこれらの穴を一つ一つ丁寧に清掃することが重要です。泡タイプとジェットタイプのクリーナーがありますが、細かい隙間にも届く泡タイプが特に推奨されます。ただし、クリーナーを使用する際は、飛散する泡から目を守るために保護メガネを着用することが大切です。
キャブレタークリーナーをすべての穴に吹き込んだ後は、パーツクリーナーで全体を洗浄します。エアコンプレッサーの使用も可能です。
キャブレター清掃後の消耗品交換が推奨されます。ガスケットとダイヤフラムは特に重要で、これらは低コストで購入可能です。
ダイヤフラムには様々なタイプが存在します。誤ったタイプを購入すると使用できないことがあるため、選択には注意が必要です。
キャブレターの下部に位置するプライマリーポンプのゴムが劣化しているなら、交換を考えるべきです。交換用のパーツは比較的安価であり、必要に応じて容易に交換可能です。
キャブレターの組み立ては、分解した際の手順を逆にたどることで行います。このプロセスでは、分解する際に撮った写真が非常に役立ちます。
ガスケットとダイヤフラムをそれぞれ2つの金属部品に取り付けた後、まずパージボディを、次にプライマリーポンプを本体に組み付けます。組み立て時には部品の向きに注意してください。
次に、キャブレターをエンジンに取り付けます。最初に、キャブレターを台座に差し込み、本体に固定します。手でしっかりと支えながら、ボルトを交互に少しずつ締めていきます。次に、スロットルワイヤーを接続します。最後に、エアクリーナーとクリーナーボックスを取り付け、作業を完了します。
アイドリングの調整は、エンジンが適切に温まった後、アクセルを戻した状態で行います。アイドリング調整ネジを回してエンジンの回転数を調整し、エンジンが停止しない最低限の回転数を保ちつつ、刃が回転しない状態を目指します。調整ネジを操作する際は、アクセルの開閉を行いながら状態をチェックし、調整作業を完了させます。
受講生の皆さんにご自分の刈り払い機のキャブレターの分解清掃を実践していただきました。
キャブレターの分解清掃を行った後、ギアケースを取り外してギアケースの仕組みとグリスの補充の仕方をお教えしました。
刈り払い機のギアケースは、エンジンから続くシャフトと刃が接続される部分です。シャフトは直線的に伸びている一方で、刃は角度をつけて取り付けられています。この角度を作るためにギアが利用され、二つのギアの組み合わせによって回転方向が変わります。ギアケースはこれらのギアを収める役割を果たしています。
ギアケースは、刃に動力を伝える重要な部品なので、定期的なメンテナンスが必要です。刃をスムーズに回転させるために、ギアケースには、かさ歯車が入っており、潤滑のためにグリスが封入されています。常に動作しているパーツを支えるため、グリスは劣化しやすく、ギアの回転による熱などで劣化が進行します。グリスが劣化すると、ギアの回転が悪くなり、最悪の場合は故障する可能性もあります。そのため、定期的に点検やグリスの補充を行うことが重要です。
同じグリスを長期間使用すると、剪断、高温、酸化の影響で潤滑性が低下し、ギアの焼き付きを引き起こす可能性があります。刈払機の種類やメーカーによって異なる場合もありますが、通常は25〜50時間ごとにギアケースへのグリスの補充が推奨されています。
ギアケースへのグリスの注入は容易です。ギアケースの側面にあるグリス注入口を塞いでいるボルトを取り外し、グリスを充填します。これで作業は完了です。
理想的には、ギアケースをメインパイプから外して内部の古いグリスを完全に押し出し、新しいグリスを入れ替えることが望ましいです。ただし、これは負担が大きいため、必須ではありません。一部の製品には、グリス注入口の反対側に古いグリスを抜くための穴が空いているギアケースもあります。
長期間刈り払い機を使用していないと、ギアケースは空気や水分の影響で劣化する恐れがあります。使用シーズンが始まる前には、ギアケースのグリスを確実に補充することが重要です。エンジンやクラッチの点検はもちろん大切ですが、ギアケースのメンテナンスも忘れないでください。他の部品と同様に、ギアケースのチェックも行ってください。ギアケースやギアの故障は、交換費用が高くつくことがあるので注意が必要です。
これも受講生のお持ちの刈り払い機を使って実践していただきました。
この後、リコイルスターターの仕組みと交換方法をお教えしました。
刈り払い機を起動するために使用される部品はリコイルスターターと呼ばれています。このリコイルスターターには、スターターロープ、ハンドル、そしてエンジンを回転させるプーリーが含まれています。リコイルスターターを引くことにより、エンジンを強制的に回転させ、シリンダー内に燃料を送り込み、スパークプラグを点火してエンジンを始動させます。
手動のリコイルスターターユニットは、引いたロープを自動で巻き戻すゼンマイバネ(リコイルスプリングやスターターバネとも)を備えています。このスターターは、紐を引くことで内部の爪が飛び出し、スタータープーリーに引っ掛かりクランクシャフトを回してエンジンを始動します。ロープはその後、ゼンマイバネによって元の位置に自動的に巻き戻され、爪も中心に戻ります。
リコイルスターターを引っ張って始動させる際に注意が必要です。その一つが、過度な力でリコイルスターターを引くことです。スターターロープ自体は耐摩耗性が高く、普通に引いても切れることはまれです。しかし、過度な力で引くと、リコイルスターター内部のスプリングやリールなどが損傷する可能性があります。
リコイルスターターには、蓄力式という種類もあります。蓄力式リコイルスターターは、数回に分けて引くことが可能な機能を備えています。エンジン式の刈り払い機を使用する際には、エンジンを始動するためにリコイルロープというスタート用の紐を引く必要があります。
蓄力式リコイルスターターユニットは、紐を巻き戻すための細いばねと、クランクシャフトを回すための太いばねの二重構造で構成されています。紐をゆっくりと引くことで、内部の太いばねが遅れて反応し、紐を引く方向に速く強力な回転力を発生させ、クランクシャフトを半自動で回転させます。
従来のエンジンスターターは、リコイルロープを強く引かなければエンジンを始動できないため、力の弱い高齢者や女性には使用が困難でした。刈り払い機の利用が限定されていたのです。
特に背負い型のエンジン式草刈機は、リコイルロープを引く姿勢が困難で、無理な力を加えると怪我のリスクがありました。これを解決するために開発されたのが、蓄力式リコイルスターターです。
蓄力式リコイルスターターは、リコイルロープを引く力を蓄えることができます。そのため、ロープを数回に分けて引くだけで、エンジンを簡単に始動することが可能です。力が弱い人でも、少ない力で何度かに分けて引くことでエンジンを始動できるため、無理な力を使う必要はありません。背負い式の刈り払い機にも、この蓄力式リコイルスターターを使用すれば、安全にエンジンを始動できます。さらに、刈り払い機本体への負担が減り、故障のリスクも低減します。
リコイルスターターの紐の交換は、刈り払い機やその他の小型エンジンを搭載した機器で一般的なメンテナンス作業です。以下に、リコイルスターターの紐を交換する基本的な手順を示します。
エンジン本体からリコイルスターターを取り外す:
通常、3つのボルトで固定されているため、容易に取り外すことができます。
取り外した後は、汚れをきれいにして作業しやすい状態にしてください。
紐の交換:
新しい紐を引っ張るハンドルに通して結びます。
次に、紐をリコイルスターター本体の穴に通して結びます。
紐をセットしたら、内部の円盤にある切り欠きに紐を引っ掛け、リコイルを巻きます。
紐の選択:
紐の太さと長さは、適切なものを選ぶことが重要です。一般的には3mmの紐が適しています。
カバーの穴をスムーズに通過できる紐を選んでください。
スプリングの向き:
スプリングの向きは、機種によって異なるため、慎重に確認が必要です。
紐やスプリングの向きが不明な場合は、動画での確認を推奨します。
こちらもご自分の機械を使って実践していただきました。
分解清掃を行った後、各部品を再組立てし、エンジンが始動するかどうかを確認しました。
始動しない場合は、原因を受講生全員で確認しながら、再度組み立て直し、エンジンを始動させました。
全員の刈払機が無事に始動し、実習は無事終了しました。
次回のラボ中級は5月5日です
フォレストリー・ラボは、あなたにぴったりのチェンソーや刈り払い機の選び方から始めて、使い方やメンテナンス方法、安全な取り扱い方法、効果的な作業手順など、必要な知識と技術を一から丁寧に教えます。特に、危険性のある作業だからこそ、安全で確実な技術を身につけることを重視しています。
初めてチェンソーや刈り払い機を使う女性の方でも、安心して木の切断作業を行えるよう、分かりやすく丁寧にサポートいたします。あなたのニーズや目標に合わせたカスタマイズされた指導を通じて、自信を持って作業に取り組むことができるようお手伝いいたします。
また、フォレストリー・ラボでは、伐木などの業務特別教育と刈り払い機の取り扱い安全衛生教育も提供しており、これらの教育を修了された方には修了証をお渡ししています。この学んだ知識や技術は、本業としても、副業としても有効に活用できます。
さらに、基本技術から応用へ中級者のための超実践的林業実践講座として、「フォレストリー・ラボ 中級」では初級で得た知識と技術を応用し、さらに難しい技術を実践していきます。チェンソーのキャブレターの分解・清掃、昇柱器と使った木登り、大径木の伐木など本業として使える技術を習得できます。また、里山資源を活用できるように軽トラックが入れる幅の作業道開設の基本をお教えします。
また、フォレストリー・ラボ 中級の中で小型車両系建設機械の安全衛生教育行い、受講された方には修了書をお渡ししますのでここで学んでいたことを本業としても副業としても活用していただけます。
見学したい方は、お気軽にお問い合わせください。
