12月7日にフォレストリー・ラボ中級クラスが開催されました。
今回のフォレストリー・ラボの内容はワイヤロープの「アイスプライス」の編み方をお教えしました。
林業・現場作業で実際に使われるワイヤーロープの扱い方として、
- ワイヤーロープの構造理解
- アイスプライス(巻き差し)の基本
- 安全に使える差し回数と仕上げ方法
を、実技を中心に学びました。
ワイヤーロープの基本構造
- 素線(そせん)
→ 一番細い鋼線 - ストランド
→ 複数の素線を撚り合わせた束(通常6本) - 心綱(芯)
→ ロープ中央にある芯(麻芯・IWRC など)
ワイヤーロープは
「素線 → ストランド → ロープ」
という構造になっています。
アイスプライスとは?
ロープの端に
輪(アイ)を作る加工方法です。
フォレストリー・ラボでは、
クランプではなく 編み込み(スプライス)による方法を行いました。
4・2式アイスプライス
4・2式とは?
最初にアイ(輪)を作るとき、
- 4本のストランド
- 2本のストランド
に分けてアイ形状を作る方法です。
特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アイ形状 | 4・2式で最初に形成 |
| フレミッシュ | 使用しない |
| 固定方法 | 丸差し+半差し |
| 用途 | 台付け索・玉掛け索など |
| 特徴 | アイがコンパクトでねじれにくい |
フレミッシュと4・2式の違い
- フレミッシュ
「輪っかの形を先に作ってから、固定する方法」 - 4・2式
「ロープを編みながら、そのまま輪っかを作る方法」
どちらも
最終的には同じ“アイスプライス”ですが、
アイの作り方(考え方)が違います。
構造の違い
フレミッシュ(フレミッシュアイ)
- ロープ端をほどく
- ストランドを 3本ずつに分ける
- 組み合わせて輪を作る
- できた輪を、別のワイヤで巻き差しして固定
4・2式
- ロープ端をほどく
- ストランド6本を使いながら
- 編み込みの途中で輪を作る
作り方の違い
| 項目 | フレミッシュ | 4・2式 |
|---|---|---|
| 最初の作業 | 輪を組む | 編みながら輪を作る |
| 難しさ | 構造理解が必要 | 手順を覚えれば簡単 |
| 失敗しやすさ | 組み間違い | 差し順を間違えやすい |
| 調整 | 輪の大きさ調整しやすい | 最初に決める必要あり |
強度と安全性の違い
強度の考え方
- どちらも正しく作れば十分な実用強度
- 強度差よりも 差し回数・仕上げの丁寧さが重要
| 項目 | フレミッシュ | 4・2式 |
|---|---|---|
| 強度 | 高い(安定) | 高い(実用十分) |
| 応力分散 | 非常に良い | 良い |
| 仕上がり | 太め | コンパクト |
見た目とサイズ感
| 項目 | フレミッシュ | 4・2式 |
|---|---|---|
| アイの大きさ | やや大きい | 小さくまとまる |
| 根元の太さ | 太くなりやすい | 細く仕上がる |
| きれいさ | 見本向き | 現場向き |
現場での使い分
フレミッシュが向いている場面
- 工場加工
- 玉掛け索の製品
- クレーン・ウインチ用
- 規格品・検査対象品
4・2式が向いている場面
- 林業現場
- 台付け索
- チョーカー
- その場で作る・直す必要がある時
安全上の差し回数ルール
4・2式でも、強度は巻き差し回数で決まります。
推奨される差し回数(安全基準)
- 丸差し:3~4回
- 半差し:1~2回
- 合計5回以上
これは
クレーン等安全規則 第219条に準じた考え方で、
台付け作業でも同様の基準が推奨されています。
巻き差しによるアイスプライス
巻き差しによるアイスプライスは、比較的簡単です。しかし、丸差しだけでは、集材時に丸太を1本吊
りした場合、ワイヤロープが、よりが戻る方向に回転し、加工部分が抜ける可能性があるため、用途は台
付けロープなどに限定されます。
スリングとして使用するためには、クレーン等安全規則(第219条)により、ストランドを編み込む回
数が、丸差し3回以上と半差し2回以上、または丸差し4回以上と半差し1回以上の合計5回以上と規定され
ています。
① 丸差し
準備
- ロープの準備:
- アイ加工をしたアイを手前に向けます。
- 左側の4本のストランドに付いている心綱を根元までほどきます。
編み込み手順
- 心綱をより込む:
- 心綱をより込みます。
- スパイキを心綱の上に通し、右から左に差し込みます。このとき、ストランドを2本すくいます。
- 心綱の挿入:
- 右手で持ったスパイキを右に回して垂直にし、心綱をロープの中に入れます。
- そのまま右手のスパイキをロープのより方向に回転させながら前進させると、心綱が自然にロープの中により込まれます。
- ストランドの選定:
- 1本目のストランドの1回目の編み込みが完了したら、左側の2本のストランドの内側のものを選び、根元までほどきます。
- ストランドの差し込み:
- 心綱を入れた際にすくったストランドの手前のものを選び、スパイキで右から左に差し込みます。
- 選んだストランドに『より戻し』を掛けて差し込みます。
- 締め込み:
- 差し込んだストランドを手前に引いて締め込みます。この操作を3回繰り返します。
追加の編み込み
- 2回目の編み込み:
- 1本目と同じストランドにスパイキを差し込み、1回目と同様に差し込み、締め込みます。この操作を計3回行います。
- 2本目以降の編み込み:
- 異なるストランドを選び、上記の手順を繰り返します。アイをひっくり返して、残りのストランドも同様に編み込みます。
- 締め付け:
- すべてのストランドを4回ずつ差し終えたら、ハンマーでアイの根元部分から先端に向かって均一に叩き、ストランドがワイヤーロープに馴染むようにします。
② 半差し
準備
- ストランドの分離:
- ストランドを外層線と内層線に分けます。端末から約3cmの位置をつまみ、外層線を内層線と分けます。
- 内層線の切断:
- 内層線をできるだけ短く切断します。この作業を残りのストランドにも行います。
編み込み手順
最後に、よりの方向にハンマーで叩いて形を整えます。差したストランドがワイヤーロープに馴染んでいることが理想的です。
外層線の差し込み:
1本目の丸差しを行ったストランドをスパイキですくい、外層線を差し込みます。このとき、内層線の切断面を隠すように差し込みます。
残りのストランドも同様に:
同様の手順で、残りのストランドに対しても外層線を差し込みます。
最終仕上げ:
外層線のヒゲが約5mm程度出るように切断します。
心綱を切断し、はみ出している心綱をスパイキでロープの中に押し込みます。
ハンマーで整形:
最後に、よりの方向にハンマーで叩いて形を整えます。差したストランドがワイヤーロープに馴染んでいることが理想的です。
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