https://www.instagram.com/iwasakiforestry
7月19日、フォレストリー・ラボ初級講座を開催しました。
今回の講座では、森林整備の現場で使用する除伐刃(笹刃)の調整・目立てから、実際の林床整理伐、さらに施業後の効果を確認するためのモニタリング調査(見通し調査)まで、森林整備を行ううえで必要となる一連の作業を実践的に学びました。
また、今回は、「里山林活性化による多面的機能発揮対策交付金」を活用したアドバイザー派遣講習としても実施しました。
講師は、この交付金事業におけるアドバイザーとして、里山林の整備や活動に取り組む団体などに対して、森林整備の技術、安全な作業方法、モニタリング調査などについて指導・助言を行っています。
里山林活性化による多面的機能発揮対策交付金とは?
今回の講習を理解するうえで、まず「里山林活性化による多面的機能発揮対策交付金」について簡単に説明します。
里山には、木材を生産するだけではなく、水を蓄える、土砂災害を防ぐ、生き物のすみかになる、景観を維持する、地域の人が自然と触れ合う場になるなど、私たちの暮らしにさまざまな役割があります。
こうした森林の持つさまざまな働きを「多面的機能」といいます。
しかし、里山では、林業従事者の減少や高齢化などにより、以前のように継続的な手入れを行うことが難しくなっています。
そこで、地域の団体や森林所有者、地域住民などが中心となって行う里山林の整備・保全活動を支援するための制度の一つが「里山林活性化による多面的機能発揮対策交付金」です。
この交付金を活用することで、地域の実情に合わせて、森林の整備や保全、森林の持つ多面的な機能を発揮させるための活動を進めることができます。
また、森林整備を実際に行うためには、単に作業を行うだけではなく、
- どのような森林を目指すのか
- どの範囲をどのように整備するのか
- どのような道具を使用するのか
- どのように作業すれば安全なのか
- 整備によって森林がどのように変化したのか
- その効果をどのように確認・記録するのか
といった専門的な知識や技術も必要になります。
そこで活用されるのが、専門的な知識や技術を持つアドバイザーによる指導・助言です。
講師は、この交付金事業におけるアドバイザーとして、里山林整備に関する技術指導やモニタリング調査などの支援を行っています。
今回のフォレストリー・ラボ初級では、そのアドバイザー派遣の仕組みを活用し、実際の森林整備を行いながら、現場で必要となる技術を学びました。
1.除伐刃(笹刃)のアサリ出しと刃の作り方
講習の最初に行ったのは、刈払機などで使用する除伐刃(笹刃)のメンテナンスです。
森林整備では、笹や雑木、細い木などを効率よく除去するために刃物を使用します。
しかし、刃が適切に調整されていなければ、切れ味が悪くなるだけでなく、作業効率の低下や作業者への負担にもつながります。
そこで今回は、実際の刃を使いながら、アサリ出し、目立て、刃の形状の整え方について実習しました。
アサリ出しとは?
「アサリ」とは、刃先を左右に少しずつ振り分けることで、刃が切断した部分に適切な切り幅をつくるためのものです。
アサリが適切に出ていることで、刃が切断部分に挟まれにくくなり、スムーズに切削できるようになります。
講習では、
- アサリの状態の確認
- アサリを適切に出す方法
- 刃先の形状を整える方法
- 目立てを行う際のポイント
- 現場で使用しやすい刃の作り方
などについて、実物を確認しながら学びました。
単に「刃を研ぐ」のではなく、どのような状態の刃に仕上げれば、実際の森林整備で効率よく安全に作業できるのかという点を重視した実践的な内容です。
2.除伐・林床整理伐の施業方法を実践
刃物の準備ができたところで、実際の森林に入り、除伐(林床整理伐)の施業を行いました。
林床整理伐とは、森林の中にある下草や笹、つる植物、小径木、低木など、森林の管理上必要に応じて整理する作業です。
林内の状況を確認しながら、残す木と伐る木を判断し、必要な範囲を整理していきます。
実際の作業では、単に「草や木を切る」のではありません。
森林全体の状態を確認し、どこを残して、どこを整理するのかを判断することが重要です。
講習では、
- 作業前の林内状況の確認
- 整備する範囲の確認
- 残す木と整理する木の判断
- 刈払機・除伐刃の適切な使用
- 作業者同士の安全な間隔
- 周囲の安全確認
- 作業中の危険箇所への注意
- 作業後の林内の状態確認
などについて、実際の現場で指導を行いました。
特に森林整備では、刃物を高速で回転させる機械を使用するため、道具の使い方だけでなく、作業者同士の位置関係や周囲の確認、安全な作業手順を身につけることが非常に重要です。
3.施業後の効果を確認する「見通し調査」
今回の講習では、森林を整備するだけでなく、整備した結果、林内がどのように変化したのかを確認するモニタリング調査についても実習しました。
その一つとして行ったのが、「見通し調査」です。
森林整備では、「作業を行った」という事実だけではなく、整備によって森林の状態がどのように改善されたのかを確認することも重要です。
見通し調査では、標尺(測量スタッフ)などを利用して、林内の一定の位置からどの程度先まで見通すことができるのかを確認します。
例えば、林床の笹や低木などを整理することで、
「整備前は林内が見えにくかったが、整備後はどの程度見通せるようになったのか」
といった変化を記録することができます。
講習では、実際の森林を使って、
- 調査位置を確認する
- 標尺などを設置する
- 一定の条件で林内を観察する
- 見通しの状態を記録する
- 施業前後の変化を比較する
といった基本的な調査方法を学びました。
こうした調査結果を記録しておくことで、森林整備の成果を客観的に確認することができます。
特に、交付金を活用した活動では、どのような活動を行い、森林がどのように変化したのかを記録しておくことが重要です。
そのため、今回の講習では、森林整備の技術だけではなく、「整備する → 記録する → 効果を確認する」までの一連の流れを学びました。
4.アドバイザー派遣講習として、現場で直接指導
今回の講習の大きな特徴は、通常の森林整備講習だけではなく、里山林活性化による多面的機能発揮対策交付金のアドバイザー派遣講習として実施したことです。
アドバイザー派遣では、森林整備に取り組む団体などが抱える課題に対して、専門的な知識や経験を持つアドバイザーが現地に入り、実際の森林を確認しながら指導・助言を行います。
森林は一つひとつ状態が違うため、机上の説明だけでは判断できないことも多くあります。
例えば、
「この木は残した方がよいのか?」
「どこまで林床を整理すればよいのか?」
「この場所ではどのような作業方法が安全なのか?」
「整備の効果をどのように確認すればよいのか?」
といった問題について、実際の現場を見ながらアドバイザーから直接アドバイスを受けることができます。
今回も、講師がアドバイザーとして、除伐刃の調整から実際の林床整理伐、さらにモニタリング調査まで、現場で一つひとつ指導しました。
5.「道具を整える」ことから「森林整備の効果を確認する」まで
今回のフォレストリー・ラボ初級では、
① 道具を整える
↓
② 安全な作業方法を学ぶ
↓
③ 実際に森林を整備する
↓
④ 整備後の森林を確認する
↓
⑤ モニタリング結果を記録する
という、森林整備の実務に必要な流れを一日を通して体験しました。
森林整備は、木を切ったり草を刈ったりするだけの作業ではありません。
適切な道具を準備し、安全な方法で作業を行い、森林の状態を見ながら整備を進め、さらに整備によってどのような効果があったのかを確認することが重要です。
今回の講習では、こうした「現場で実際に使える森林整備の技術」を中心に、実習形式で学びました。
まとめ
7月19日のフォレストリー・ラボ初級では、除伐刃(笹刃)のアサリ出し・目立て、林床整理伐の施業方法、安全な作業方法、そしてモニタリング調査としての見通し調査まで、幅広い内容を実践しました。
さらに今回は、里山林活性化による多面的機能発揮対策交付金のアドバイザー派遣講習として、講師自身がアドバイザーとして現場で指導を行いました。
里山の森林を守り、森林が持つさまざまな機能を将来にわたって維持していくためには、地域の方々が森林整備に関わり、必要な技術や安全な作業方法を身につけることが大切です。
フォレストリー・ラボでは、今後も**「実際の森林で学ぶ」「自分で道具を扱う」「作業して結果を確認する」**ことを大切にしながら、森林整備に関わる方々が現場で役立つ知識と技術を身につけられる講習を行っていきます。
7月19日の講習にご参加いただいた皆さま、お疲れさまでした。
次回のラボ初級は8月23日です。
フォレストリー・ラボは、あなたにぴったりのチェンソーや刈り払い機の選び方から始めて、使い方やメンテナンス方法、安全な取り扱い方法、効果的な作業手順など、必要な知識と技術を一から丁寧に教えます。特に、危険性のある作業だからこそ、安全で確実な技術を身につけることを重視しています。
初めてチェンソーや刈り払い機を使う女性の方でも、安心して木の切断作業を行えるよう、分かりやすく丁寧にサポートいたします。あなたのニーズや目標に合わせたカスタマイズされた指導を通じて、自信を持って作業に取り組むことができるようお手伝いいたします。
また、フォレストリー・ラボでは、伐木などの業務特別教育と刈り払い機の取り扱い安全衛生教育も提供しており、これらの教育を修了された方には修了証をお渡ししています。この学んだ知識や技術は、本業としても、副業としても有効に活用できます。
さらに、基本技術から応用へ中級者のための超実践的林業実践講座として、「フォレストリー・ラボ 中級」では初級で得た知識と技術を応用し、さらに難しい技術を実践していきます。チェンソーのキャブレターの分解・清掃、昇柱器と使った木登り、大径木の伐木など本業として使える技術を習得できます。また、里山資源を活用できるように軽トラックが入れる幅の作業道開設の基本をお教えします。
また、フォレストリー・ラボ 中級の中で小型車両系建設機械の安全衛生教育行い、受講された方には修了書をお渡ししますのでここで学んでいたことを本業としても副業としても活用していただけます。
見学したい方は、お気軽にお問い合わせください。
