自然の素材で道を支える ── 丸太組工による土留め技術


5月4日にフォレストリー・ラボ中級コースが開催されました。

この日のラボの内容は作業道開設における「丸太組工(まるたぐみこう)」の設置の仕方をお教えしました。

森林整備において欠かせないインフラのひとつが「作業道」です。伐採や搬出の効率化、森林管理の継続性を支える大切な通路ですが、自然地形の中に切り開かれるため、土砂の流出や法面(のりめん)の崩壊、排水不良による路体の損傷など、さまざまな課題に直面します。

こうした課題に対処するために活用されてきたのが「丸太組工(まるたぐみこう)」と呼ばれる土留め工法です。

丸太組工とは、山林内で伐採した木材(主に丸太)を使って、作業道の法面や法尻(道の端)を安定させるための土留め工法の一種です。自然の素材をそのまま利用し、山の地形や状況に応じて柔軟に対応できるのが特徴です。

特に、以下のような利点が評価されています:

  • 現地の素材(伐採木)を活用できるため、低コストかつ環境負荷が小さい
  • 自然景観と調和し、周囲の環境に馴染む
  • 簡便な道具と人力でも施工が可能
  • 適切に施工すれば、数十年にわたり路体支持力を維持できる

■ 丸太組工の施工手順 ── 現場での基本的な流れ

丸太組工は、シンプルながらも正確さと丁寧さが求められる作業です。以下に、標準的な施工手順をご紹介します。

使用する材料の目安

  • 桁材(けたざい):長さ4mまたは3m、径20㎝以上の丸太
  • 横木:長さ1mから1.5m、径10cm~18cm程度の丸太

これらは現地の間伐材を活用することが基本で、路肩や斜面の傾斜、地質条件に応じて適宜選定します。


施工の流れ

① 法尻部分の整地
まず、丸太を設置する最下部(法尻)となる部分の表土を剥ぎ取り、地盤を掘削して平らに均します。これが丸太の安定性を左右するため、基礎として非常に重要な工程です。

② 桁丸太の設置
整地した地盤に、桁材となる長い丸太を横方向に設置します。この桁が全体の骨組みを支える役割を担います。

③ 横木を配置するための溝掘り
おおむね1m~2m間隔で、桁と直角になるように横木を置くための浅い溝(ガイドライン)を地面に掘ります

④ 横木の設置と固定
1mから1.5mの丸太を溝に沿って置き、しっかり固定します。

⑤ 裏込め土の投入と転圧
設置した丸太の背後(斜面側)に、現地の掘削土または砕石を丁寧に詰め込み、しっかりと転圧(踏み固め)します。これによって土圧に耐える構造となります。

⑥ 2段目の桁材を積む
裏込めが完了したら、さらに上の段に次の桁材を設置します。これを繰り返すことで、斜面の高さに応じた段積み構造を形成していきます。

⑦ 以降、必要な高さまで繰り返し作業を行う
斜面の角度や土の性質を考慮しながら、必要な段数だけ同様の工程を繰り返して積み上げていきます。施工中は常に水平・垂直を意識して精度を保ちます。

■ 施工上の重要な注意点

◉ 十分な締め固めが必須

施工段階での丁寧な転圧が、長期安定性の鍵となります。

◉ 腐朽対策と維持管理が必要

丸太は年月とともに腐朽します。特に路体を支える重要な構造材の劣化は、道の安全に直結します。そのため、腐朽が確認された場合は早期に丸太の補強や交換、砂利の補充を行うことが推奨されます。

◉ 植生の入り込みを前提とする

丸太組工は、施工後に自然と草や木が生え、土に馴染んでいくことを前提としています。したがって、必要以上に高く積み上げるのではなく、地形に沿った高さで仕上げることが大切です。

◉ 施工位置の工夫

土留丸太組は、切り開いた斜面に土砂が自然に落ち着く「土の落ち止まり線」を基準に設置すると、より安定した法面になります。地形の観察と判断が求められる工程です。

自然素材を使った丸太組工は、地域資源を有効活用しつつ、山の安全を守る知恵の結晶です。重機やコンクリートを用いなくても、現場にある材料と人の手で「必要十分な強度と機能」を持つ構造物を作ることができます

一方で、耐久性の面では限界もあるため、定期的な点検や補修が必要となります。

次回のラボ中級は6月1日です。

フォレストリー・ラボは、あなたにぴったりのチェンソーや刈り払い機の選び方から始めて、使い方やメンテナンス方法、安全な取り扱い方法、効果的な作業手順など、必要な知識と技術を一から丁寧に教えます。特に、危険性のある作業だからこそ、安全で確実な技術を身につけることを重視しています。

初めてチェンソーや刈り払い機を使う女性の方でも、安心して木の切断作業を行えるよう、分かりやすく丁寧にサポートいたします。あなたのニーズや目標に合わせたカスタマイズされた指導を通じて、自信を持って作業に取り組むことができるようお手伝いいたします。

また、フォレストリー・ラボでは、伐木などの業務特別教育と刈り払い機の取り扱い安全衛生教育も提供しており、これらの教育を修了された方には修了証をお渡ししています。この学んだ知識や技術は、本業としても、副業としても有効に活用できます。

さらに、基本技術から応用へ中級者のための超実践的林業実践講座として、「フォレストリー・ラボ 中級」では初級で得た知識と技術を応用し、さらに難しい技術を実践していきます。チェンソーのキャブレターの分解・清掃、昇柱器と使った木登り、大径木の伐木など本業として使える技術を習得できます。また、里山資源を活用できるように軽トラックが入れる幅の作業道開設の基本をお教えします。

また、フォレストリー・ラボ 中級の中で小型車両系建設機械の安全衛生教育行い、受講された方には修了書をお渡ししますのでここで学んでいたことを本業としても副業としても活用していただけます。

見学したい方は、お気軽にお問い合わせください。


PAGE TOP