法令で定められた「特別教育」ってどんな内容?小型車両系建設機械特別教育の現場から


8月4日にフォレストリー・ラボ中級が開催されました。

この日のラボの内容は、小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育を行いました。

「小型車両系建設機械」とは、労働安全衛生施行令で定められた建設機械の一種です。具体的には、以下の2種類の機械が含まれます:

  1. 整地、運搬、積込み用の機械
  2. 掘削用の機械

これらの機械は、エンジンやモーターなどの動力を使って動きます。また、特定の場所に固定されず、自由に移動できる点が特徴です。

そして、これらの機械のうち、重さが3トン未満のものが「小型車両系建設機械」として分類されます。

「機体質量」とは、機械そのものの重さのことを指します。具体的には、ブルドーザー、トラクターショベル、油圧ショベルなどが該当しますが、これらのうち重さが3トン以上のものや、基礎工事や解体作業に使われる専用の機械は「小型車両系建設機械」の対象外となります。

労働安全規則第36条第9号の業務 ⇒ 安全衛生特別教育規程第11条に基づく教育では、事業者は、機体質量が3t未満の車両系建設機械のうち、「整地・運搬・積込み用」及び「掘削用」の機械で、動力を用い、かつ、不特定の場所に自走できるものの運転(道路上を走行させる運転を除く)の業務に労働者を就かせるときは、安全又は衛生のための特別な教育をしなければならないことが義務付けられています。

特別教育とは、危険で有害な作業に従事する労働者が、安全に作業を行うために受けるべき専門的な教育のことです。これは、労働安全衛生法の第59条第3項で定められており、労働者が安全に働くために必要な知識や技能を身につけるために重要とされています。

特別教育は、事業者が労働者を新しく雇ったり、作業内容が変わったりしたときに、危険で有害な作業を行う場合には必ず受けさせる必要があります。これは、労働者が安全に作業できるようにするための重要な教育です。

無資格の労働者を特定の危険作業に従事させた場合、法律により6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることがあります。それに加えて、コンプライアンス違反という、さらに深刻な問題が生じる可能性もあります。

違法行為を行った事業者は、社会からの信頼を失うという大きなリスクを負うことになります。

「危険または有害な業務」に関する内容は、労働安全衛生法に基づき、労働安全衛生規則第36条の「特別教育を必要とする業務」にて定められています。

特別教育の内容は、安全衛生特別教育規程によって定められており、どの教育機関で受講しても内容は同じです。講習時間も規定されており、カリキュラムに従って授業が行われます。

労働安全衛生法により定められた「危険または有害な業務」に従事する際には、特別教育に加えて「技能講習」や「免許」の取得が必要な作業が存在します。

技能講習は、特定の危険または有害な作業に従事する労働者に対して義務付けられた教育です。学科教育に加えて、実技講習を受講し、修了試験に合格することで、技能講習の修了資格が授与されます。

技能講習と特別教育の主な違いは、専門性の程度にあります。免許、技能講習、特別教育の順で、より専門的な作業に従事できるようになります。

技能講習と特別教育の間には、資格証の有無に関する違いが存在します。特別教育を受けることで特定の作業を行うことはできますが、それによって資格保有者になるわけではありません。

一方、技能講習を修了すると「技能講習修了証明書」が発行され、全国で認められた資格を持つことになります。たとえ転職しても、この証明書があれば、特定の作業に対して新たな教育を受けずに従事することができます。

特別教育を受ける方法には、外部の機関で受講するか、自社で実施するかの2通りがあります。

自社で特別教育を行うのが難しい場合は、外部の教育機関を利用して受講することができます。一般的には、各都道府県の労働局に申し込んで受講する方法があります。

外部受講であっても特別教育の責任は事業者にあります。

会社の規模が大きく、特別教育を受ける従業員が多い場合は、社内で特別教育を行うこともできます。この方法だと、外部機関を利用しないため、受講料や交通費などの費用がかからないというメリットがあります。

自社内で特別教育を実施する場合でも、外部機関と同じ内容や時間数で行う必要があります。これは、安全衛生特別教育規程に従って行わなければなりません。

特別教育の講師には特に資格が決まっていません。そのため、自社内で実施する場合は、他の社員が講師として特別教育を行うこともできます。

ただし、誰でも講師になれるわけではありません。講師は、該当する業務や特別教育について十分な知識と経験を持っている必要があります。

外部の教育機関で特別教育を受けた場合、通常「修了証」が発行されます。ただし、この証明書の発行は義務ではないため、社内で特別教育を行った場合には、修了証が必ずしも必要というわけではありません。

特別教育の記録、例えば修了証などは、教育を実施してから3年間保存する必要があります。これは労働安全衛生規則で定められています。

以下は厚生労働省が公開している「労働安全衛生法における特別教育の概要」です。

労働安全衛生法における特別教育の概要
労働安全衛生法第 59 条第 3 項の規定にもとづき、事業者は、厚生労働省令で
定める危険又は有害な業務に労働者をつかせるときは、その業務に関する安全
又は衛生のための特別の教育を行わなければならない。特別教育を必要とする
業務は労働安全衛生規則第 36 条に規定されている機械集材装置の運転、チェー
ンソーによる伐木、小型車両系建設機械の運転など 49 の業務。
 特別教育の細目
特別教育の実施について必要な事項は、特別教育規程(厚生労働省告示)によ
り科目、範囲、時間が定められている。
 科目の省略
事業者は、特別教育の科目の全部又は一部について十分な知識及び技能を有し
ていると認められる労働者については、当該科目についての特別教育を省略する
ことができる。
省略が認められる者とは、
 当該業務に関し上級の資格を有する者
 当該業務に関し職業訓練を受けた者 など
 教育の実施主体
教育は、通達により、事業者が実施しても、外部の講師に委託してもさしつえな
い。
 講師の要件
講師の資格要件は定められていないが、通達により、教習科目について十分な知識、
経験を有する者でなければならないこととされている。
 記録の保存
事業主は、特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、3 年間保存しなけれ
ばならない。
関連条文
労働安全衛生法
(安全衛生教育)
第 59 条 事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めると
ころにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
2 前項の規定は、労働者の作業内容を変更したときについて準用する。
3 事業者は、危険又は有害な業務で、厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、
厚生労働省令で定めるところにより、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行
なわなければならない。
労働安全衛生規則
(特別教育を必要とする業務)
第 36 条 法第 59 条第 3 項 の厚生労働省令で定める危険又は有害な業務は、次のとおりとする。
7 機械集材装置(集材機、架線、搬器、支柱及びこれらに附属する物により構成され、動力を
用いて、原木又は薪炭材を巻き上げ、かつ、空中において運搬する設備をいう。以下同じ。)
の運転の業務
8 胸高直径が 70 センチメートル以上の立木の伐木、胸高直径が 20 センチメートル以上で、か
つ、重心が著しく偏している立木の伐木、つりきりその他特殊な方法による伐木又はかかり木
でかかつている木の胸高直径が 20 センチメートル以上であるものの処理の業務
8 の 2 チェーンソーを用いて行う立木の伐木、かかり木の処理又は造材の業務(前号に掲げる
業務を除く。)
(特別教育の科目の省略)
第 37 条 事業者は、法第 59 条第 3 項 の特別の教育(以下「特別教育」という。)の科目の全部又は一
部について十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該科目についての
特別教育を省略することができる。
(特別教育の記録の保存)
第 38 条 事業者は、特別教育を行なつたときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、
これを 3 年間保存しておかなければならない。
(特別教育の細目)
第 39 条 前 2 条及び第 592 条の 7 に定めるもののほか、第 36 条第 1 号から第 13 号まで、第 27 号及
び第30号から第36号までに掲げる業務に係る特別教育の実施について必要な事項は、厚生労働大
臣が定める。
昭和 48 年 3 月 19 日基発第 145 号通達「労働安全衛生法関係の疑義解釈について」(抜粋)
12 法第 59 条関係
問 法59条に定める特別の教育は、特定の講師に委託して行ってもさしつえないか。なお、
講師の資格如何。
答 さしつかえない。なお、特別の教育の講師についての資格要件は定められていないが、
教習科目について十分な知識、経験を有する者でなければならないことは当然である。
関連条文
3
林業関係の特別教育規程

○機械集材装置の運転の業務に係る特別教育
学科教育
科 目 範 囲 時 間
機械集材装置に関する知識
機械集材装置の集材機の種類、構造及び取扱いの方法 機械集材
装置の索張り方式 集材方法
3 時間
ワイヤロープに関する知識 ワイヤロープの種類 ワイヤロープの止め方及び継ぎ方の種類 2 時間
関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 1 時間
実技教育
科 目 範 囲 時 間
機械集材装置の集材機の運転 基本操作 応用運転 4 時間
ワイヤロープの取扱い ワイヤロープの止め方、継ぎ方及び点検方法 4 時間

○胸高直径が 70 センチメートル以上の立木の伐木等の業務に係る特別教育
学科教育
科 目 範 囲 時 間
伐木作業に関する知識 伐倒の方法 伐倒の合図 退避の方法 かかり木の種類及びその処理
3 時間
チェーンソーに関する知識
チェーンソーの種類、構造及び取扱い方法 チェーンソーの点検及び
整備の方法 ソーチェーンの目立ての方法
2 時間
振動障害及びその予防に関する知識
振動障害の原因及び症状 振動障害の予防措置 2 時間
関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 1 時間
実技教育
科 目 範 囲 時 間
伐木の方法 大径木及び偏心木の伐木の方法 かかり木の処理方法
4 時間
チェーンソーの操作 基本操作 応用操作 4 時間
チェーンソーの点検及び整備 チェーンソーの点検及び整備の方法 ソーチェーンの目立ての方法
2 時間
○チェーンソーを用いて行う立木の伐木等の業務に係る特別教育
学科教育
科 目 範 囲 時 間
伐木作業に関する知識 伐倒の方法 伐倒の合図 退避の方法 2 時間
チェーンソーに関する知識 チェーンソーの種類、構造及び取扱い方法 チェーンソーの点検及び
整備の方法 ソーチェーンの目立ての方法
2 時間
振動障害及びその予防に関する知識
振動障害の原因及び症状 振動障害の予防措置 2 時間
関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 1 時間
実技教育
科 目 範 囲 時 間
伐木の方法 胸高直径が七十センチメートル未満の立木の伐木の方法 かかり木でかかつている木の胸高直径が二十センチメートル未満であるものの処理方法
2 時間
チェーンソーの操作 基本操作 応用操作 2 時間
チェーンソーの点検及び整備
チェーンソーの点検及び整備の方法 ソーチェーンの目立ての方法 2 時間
<参考>
○小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育
学科教育
科 目 範 囲 時 間
小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の走行に関する装置の構造及び取扱いの方法に関する知識
小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)(安衛則第三十六条第九号の機械の
うち令別表第七第六号に掲げる機械をいう。以下同じ。)の原動機、
動力伝達装置、走行装置、かじ取り装置、ブレーキ、電気装置、警
報装置及び走行に関する附属装置の構造及び取扱いの方法
2 時間
小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の作業に関する装置の構造、取扱い及び作業方法に関する知識
小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の種類及び用途 作業装置及び作
業に関する附属装置の構造及び取扱いの方法 小型車両系建設
機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)による一般的作業方法
2 時間
小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転に必要な一般的事項に関する知識
小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転に必要な力学 コンクリート造
の工作物等の種類及び構造 土木施工の方法
1 時間
関係法令 法、令及び安衛則中の関係条項 1 時間
実技教育
科 目 範 囲 時 間
小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の走行の操作 基本操作 定められたコースによる基本走行及び応用走行
4 時間
小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の作業のための装置の操作
基本操作 定められた方法による基本施工及び応用施工
2 時間

特別教育の1日目には、午前中に3時間の実技教育と4時間の学科教育を行いました。

次回のラボは9月1日を予定しています。

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