10月5日に「フォレストリー・ラボ中級コース」を開催しました。
今回は、岩崎林業で行った作業道開設の事例をもとに、実際の現場で作業道の構造や開設方法をを詳しく解説しました。
今回作業の多くの箇所で木組み工法(きぐみこうほう)を行いました。
「林業の作業道開設における木組み工法(きぐみこうほう)」とは、重機によるコンクリート構造物や擁壁を使わず、現地の木材(丸太など)を主材料として法面や路肩を安定させる伝統的・自然共生的な工法です。
環境負荷を抑え、コストを下げながら、安全で長持ちする林道を作る方法として、近年、再評価されています。
木組み工法とは、丸太や半割丸太を組み合わせて土留め(どどめ)・路肩補強・排水構造などを構築する工法の総称です。
コンクリートを使わずに、地元で伐採した木材を活用できるため、低コスト・低環境負荷・資源循環型の作業道整備が可能になります。
一般的な木組み工法では、道路の法面や路肩を安定させるために、丸太を使って水平材(横木)と垂直材(縦木)を組み合わせます。
まず、水平材を盛り土の上に置き、その間に垂直材を立てて組み合わせます。
これを繰り返すことで、水平と垂直に組んだ格子状の枠を順に設置していきます。
また、林業の作業道開設における水切り(排水)対策についても詳しく説明しました。
水切り対策の目的
作業道に雨水や地下水がたまると、次のような問題が起こります。
- 土の圧力が増して、法面や土留めが崩れる
- 木組み工法で使用した丸太が腐りやすくなる
- 道路の表面が浸食され、作業道が荒れる
そのため、水を速やかに排出できる構造を設計・施工することが重要です。
基本的な排水方法
(1) 表面排水
道路面や法面の表面にたまった水を排出する方法です。
- 道路の勾配設定
道路中央を高くして、両側(谷側)に傾斜をつけることで、雨水を自然に流す
→ 水を側溝や法面の水路に導きます - 法面の水切溝(横溝)
法面に横方向の溝を掘り、雨水を下方に流します
→ 今回は約30m間隔、またはカーブごとに設置 - 側溝・木樋
道路端に丸太や木製水路、石組み水路などを設置して水を集める
※今回は、軽トラックが常時通行することを考慮して、木樋や深い水切溝を避け、車両の通行に支障がない方法で施工しました。
また今回実際に行った「洗い越し」ついての説明と修繕作業を実践しました。
洗い越しとは
洗い越し(あらいこし)とは、作業道や林道で、道路を水路が横切る部分のことを指します。
雨水や沢水、湧き水などの水が道路上を流れるのを、道路の勾配を利用して自然に通過させる仕組みです。
- 道路上で水を「洗い流す」ように通すことからこの名前が付いています
- コンクリートやパイプを使わずに設置できる、自然にやさしい排水方法です
洗い越しの役割・目的
洗い越しの主な目的は次の通りです。
- 道路の浸食防止
- 水が道路にたまって流れると、路面が削られて荒れてしまうのを防ぎます。
- 土留めや法面の保護
- 道路上の水が法面に押し寄せるのを防ぎ、法面や土留めの崩壊を防ぎます。
- 水を自然に山地へ戻す
- 水路が自然の水流に沿って流れるため、環境への影響を抑えられます。
洗い越しの利点
- 低コストで施工可能
コンクリートやパイプを使わず、現地の土や石・丸太で施工できる。 - 自然環境にやさしい
水の自然な流れを妨げず、環境への影響が少ない。 - 小規模林道や作業道に適している
手作業で施工できるため、規模の小さい林道や作業道に最適。
洗い越しの構造・施工方法
洗い越しは、簡単な構造で設置できる水路施設です。代表的な施工方法を紹介します。
(1) 土路型洗い越し
- 道路を少し低く掘り、土で作った簡易水路を設ける
- 水は自然に道路を横断して下流へ流れる
- 材料は現地の土だけで十分
(2) 丸太や石を利用した洗い越し
- 水路の底に丸太や石を敷き、浸食防止と水流の安定化を図る
- 大雨時でも路面の流出を抑えられる
- 丸太を横に置く場合は、少し低めに設置して水が自然に流れるようにする
(3) 流量の調整
- 水路の幅や勾配を適切に設計する
- 水が強く流れすぎると道路が削られるため、敷石や丸太で水流を減勢させることが重要
今回は丸太や石を利用した洗い越しを設置しました。
洗い越しの注意点
- 設置場所の選定
- 水が集まりやすい場所や、小さな沢が道路と交差する地点に設置する。
- 車両通行への配慮
- 車両が通る場合は、洗い越しの勾配や水路の幅を調整し、通行に支障がない高さにする。
- 定期的な点検と補修
- 石や土が流れていないかを定期的に確認し、必要に応じて補修する。
今回は、実際に設置されている洗い越しの修繕作業を行いました。
作業後、軽トラックが問題なく通行できる状態に整備しました。
次回のラボは11月2日を予定しています。
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